「昔工場だった土地を売りたい」「土壌調査で基準超過が見つかった」「形質変更時要届出区域でも売れる?」
このような土地でも、土壌汚染があることだけを理由に売買が禁止されるわけではありません。
ただし、通常の土地よりも、
- 過去の土地利用
- 調査結果
- 区域指定
- 対策費用
- 買主の利用計画
- 契約上の責任範囲
を整理してから売却することが重要です。
安城市でも2026年、住吉町の旧イトーヨーカドー安城店敷地の一部や、クラボウ安城工場跡地で土壌汚染が公表されています。
結論|土壌汚染があっても売却は可能
土壌汚染のある土地で重要なのは、
「汚染があるか」だけではなく、「どこに・何が・どの程度あり、取得後に何をする土地なのか」
です。
例えば、買主が取得後に建物を建てる場合には、
- 基礎工事で汚染土壌を掘削するか
- 場外搬出が必要か
- 行政への届出が必要か
- 対策費はいくらか
- 工期に影響するか
などが価格や購入判断に影響します。
そのため、単純に「通常価格-浄化費用」で売却価格が決まるわけではありません。
まず確認したい4つの状態
土壌汚染のある土地は、次の状態を分けて考えると分かりやすくなります。
| 状態 | 確認すること |
|---|---|
| 汚染のおそれがある | 過去の工場・事業所などの土地履歴 |
| 調査で基準超過 | 物質・範囲・深度・濃度 |
| 区域指定されている | 工事・土地利用上の制限 |
| 対策済み | 対策内容・区域指定解除の有無 |
特に、
「区域指定されていない=土壌汚染がない」
とは限りません。
調査で汚染が判明してから区域指定されるまで時間差がある場合や、自主調査だけが行われている場合もあります。
要措置区域と形質変更時要届出区域の違い
土壌汚染対策法では、基準不適合の土地を主に次の2種類に分けます。
要措置区域
土壌汚染による健康被害のおそれがある土地です。
行政から汚染除去等の措置を求められる場合があり、土地の形質変更にも強い制限があります。
形質変更時要届出区域
土壌汚染は確認されているものの、直ちに健康被害が生じるおそれがない土地です。
すぐにすべての汚染土壌を撤去しなければならないわけではありません。
ただし、掘削など土地の形質を変更する場合は、原則として事前の届出が必要です。
安城市では現在2カ所が形質変更時要届出区域
2026年10月17日時点で確認できる愛知県の指定一覧(2026年10月13日更新)では、安城市に次の2区域があります。
| 所在地 | 面積 | 基準不適合物質 |
|---|---|---|
| 住吉町三丁目461番2・461番4の各一部 | 205.2㎡ | ふっ素及びその化合物(溶出) |
| 根崎町西石谷201番の一部 | 200.00㎡ | ふっ素及びその化合物(溶出) |
住吉町の区域は、旧イトーヨーカドー安城店敷地の一部です。
2026年4月に土壌汚染が公表され、その後7月17日に形質変更時要届出区域へ指定されました。
このように、
汚染判明 → 区域指定 → 対策 → 解除
は、それぞれ時点が異なります。
売却するときは現在どの段階なのか確認することが重要です。
クラボウ安城工場跡地でも2026年に土壌汚染を確認
2026年9月4日には、安城市大東町のクラボウ安城工場跡地でも土壌汚染が公表されました。
調査対象約10.8haのうち、1,193区画中5区画で六価クロム化合物の土壌溶出量基準超過が確認されています。
ただし、2026年10月13日更新の愛知県の区域指定一覧には、クラボウ安城工場跡地は掲載されていません。
つまり、
「土壌汚染が判明していること」と「区域指定されていること」は別
だと分かります。
クラボウ安城工場跡地についてはこちらで詳しくまとめています。
クラボウ安城工場跡地の土壌調査|六価クロム5区画・今後の除去対策【2026年】
大規模な土地造成では届出が必要になる場合がある
土壌汚染対策法では、原則として3,000㎡以上の土地の形質変更を行う場合、着手30日前までの届出が必要です。
有害物質使用特定施設が設置されている事業場等では、900㎡以上が対象になる場合があります。
愛知県条例でも一定規模以上の土地について、過去の土地利用履歴の調査・報告制度があります。
そのため、工場跡地や大規模事業用地では、
売却時点だけでなく、買主が取得後にどのような開発をするか
も重要になります。
売却前はまず「地歴」を確認する
工場跡地だからといって、最初から全面的な土壌分析をするとは限りません。
まず確認したいのは土地の履歴です。
例えば、
- 過去の住宅地図
- 航空写真
- 登記事項証明書
- 工場・事業所の用途
- 使用していた化学物質
- 地下タンク・配管
- 過去の土壌調査報告書
などです。
現在が住宅地や店舗でも、その前に工場として利用されていた土地では土壌汚染が確認される場合があります。
売却前に確認したい5項目
土壌汚染の可能性がある土地では、次の順番で整理すると分かりやすくなります。
1.区域指定の有無
愛知県の最新指定一覧と台帳を確認します。
2.過去の調査資料
以前の所有者や事業者が土壌調査を実施していないか確認します。
3.汚染物質・範囲
「汚染あり」だけではなく、場所・物質・範囲・深度まで確認します。
4.買主の利用方法
駐車場として利用する場合と、建物を建築して大規模に掘削する場合では必要な対応が異なります。
5.費用負担
売主が対策して引き渡すのか、現況で売却して買主が対策するのかを決めます。
契約では「誰がどこまで負担するか」を明確にする
土壌汚染が判明している土地では、売買契約書の内容が特に重要です。
最低限、
- 既存の調査結果
- 調査費用の負担者
- 汚染が見つかった場合の対応
- 土壌処理費用の負担
- 対策費が想定額を超えた場合
- 契約解除条件
- 引渡し後に新たな汚染が判明した場合の責任
などを具体的に決めます。
売主が把握している土壌汚染や過去の調査結果を説明せずに売却すると、後に契約不適合責任などを巡る紛争になる可能性があります。
分かっている情報を開示し、そのうえで価格・対策・責任範囲を決めることが重要です。
契約内容については案件ごとに異なるため、必要に応じて弁護士などの専門家への確認も必要です。
土壌汚染があるから「売れない」とは限らない
土壌汚染地でも、
- 工場
- 倉庫
- 物流施設
- 商業施設
- 駐車場
- 開発用地
など、買主の利用目的によっては売却できる場合があります。
重要なのは、汚染情報を隠して一般の土地として売ることではありません。
調査結果と利用条件を整理し、その土地を利用できる買主へ適切な条件で売却することです。
安城市で工場跡地・事業用地・土壌汚染の可能性がある土地の売却を検討している場合はこちらもご覧ください。
まとめ|土壌汚染地は「調査→区域→利用→契約」の順で整理
土壌汚染が確認された土地でも、売却自体は可能です。
売却前には、
土地履歴
↓
調査結果
↓
区域指定
↓
買主の利用計画
↓
対策費・契約条件
の順に整理すると分かりやすくなります。
特に安城市では2026年に複数の土壌汚染事例が公表されており、現在の土地利用だけではなく、過去の工場利用などまで確認することが重要です。
土壌汚染のある土地は、通常の土地より売却条件の設定が複雑です。
そのため、調査・対策を始める前に、「どの状態で、誰に売るのか」まで含めて売却方法を検討することが重要です。
関連記事
クラボウ安城工場跡地の土壌調査|六価クロム5区画・今後の除去対策【2026年】
参考情報
愛知県|土壌汚染対策法に関する情報
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/mizutaiki/0000049585.html
愛知県|土壌汚染対策法に基づく要措置区域・形質変更時要届出区域の指定状況
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/mizutaiki/0000047550.html
愛知県|土壌及び地下水の汚染の防止に関する規制等
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kankyo/dojyoutikasui.html
愛知県|安城市における土壌汚染について(2026年4月23日)
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/mizutaiki/dojo-osen080423.html
愛知県|安城市における土壌汚染について(2026年9月4日)
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/mizutaiki/dojo-osen0809041.html



