「所有している土地に都市計画道路の線が入っていると言われた」「将来、道路になる土地でも売却できるのか」「行政が買収してくれるまで待った方がよいのか」。

安城市で都市計画道路の区域に土地や建物を所有している場合、このような疑問を持つ方もいるでしょう。

結論からいうと、都市計画道路の区域に入っているからといって、土地の売却が一律に禁止されるわけではありません。

ただし、通常の土地とは違い、都市計画道路が敷地のどこまでかかっているのか、現在が都市計画決定だけの段階なのか、すでに事業が進んでいるのかによって、建築制限や売却手続き、査定の考え方が変わります。

特に重要なのは、「将来道路になるらしい」という情報だけで判断せず、計画線・事業段階・買収予定範囲・残る土地の形を分けて確認することです。

この記事で分かること

  • 都市計画道路の予定地でも売却できるのか
  • 都市計画法第53条による建築制限
  • 事業認可後に変わる建築・売却のルール
  • 用地買収が始まるまでの一般的な流れ
  • 都市計画道路が土地査定に与える影響
  • 安城市で都市計画道路を確認する方法

結論|「道路予定地=売れない」ではないが、事業段階の確認が必要

都市計画道路の区域に含まれる土地でも、民間の買主へ売却できる場合があります。

ただし、確認したいのは単に「都市計画道路にかかっているか」だけではありません。

大きく分けると、

状況主な確認事項
都市計画決定の段階計画線、53条の建築制限、敷地へのかかり方
事業化が具体化している段階測量、用地取得予定、事業区域、今後のスケジュール
都市計画事業認可後65条による建築等の制限、67条による有償譲渡の届出など
用地買収の交渉段階買収面積、建物・工作物補償、残地の利用性、税務

という違いがあります。

したがって査定前には、「都市計画道路です」という一言で終わらせず、現在どの段階まで進んでいる道路なのかを調べる必要があります。

都市計画道路予定地とは?

一般に「都市計画道路予定地」と呼ばれる土地は、都市計画として道路の位置や幅員などが決定され、その区域に敷地の全部または一部が含まれている土地を指します。

都市計画道路は、都市計画決定されたからといって直ちに工事や用地買収が始まるとは限りません。

実際に安城市でも、都市計画の変更手続き後に用地測量や補償調査へ進む道路があります。市が2026年に公表した安城一色線・名豊道路に関する説明でも、都市計画変更後に用地測量や補償調査などへ進む流れが示されています。

そのため、

「計画線がある」
=
「すぐ行政が土地を買ってくれる」

という意味ではありません。

まず確認したいのは「計画線が土地のどこを通っているか」

土地全体が都市計画道路に入っている場合と、敷地の道路側だけが一部かかっている場合では、査定への影響が大きく違います。

たとえば300㎡の土地でも、

  • 敷地の端を少し通る
  • 建物の中央を道路線が通る
  • 土地の半分程度が道路予定地になる
  • 買収後に間口の狭い土地が残る

といった違いがあります。

特に一部買収の場合は、買収される面積だけでなく、買収後に残る土地が使えるかどうかが重要です。

残地の面積、形状、接道、間口、駐車場配置、建物の再配置などによって、土地としての利用価値が変わります。

安城市では「あんじょうマップ」で都市計画情報を確認できる

安城市では、2026年3月31日で従来の都市計画情報サービスを終了し、現在は「あんじょうマップ(安城市地図情報システム)」で用途地域や都市計画情報を閲覧・印刷できるようになっています。

また、市役所都市計画課では都市計画道路などを表示した都市計画情報を確認できます。2026年4月作成の都市計画総括図も案内されています。

ただし、売買契約や建築計画を具体的に進める場合は、インターネットの地図だけで判断せず、対象地番と計画線の位置を行政窓口等で確認した方が安全です。

都市計画法第53条の建築制限とは?

都市計画道路などの都市計画施設の区域内で建築物を建築する場合、都市計画法第53条による許可が必要になることがあります。

安城市は、都市計画施設の区域内で建築する場合の許可基準として、

  • 階数が2以下で地階がないこと
  • 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造などであること
  • 容易に移転・除却できること

を案内しています。

つまり、都市計画道路予定地だから「何も建てられない」とは限りません。

一方で、一般の土地と同じように自由な建築計画を立てられるとも限りません。

この点は買主にとって重要です。

たとえば住宅会社が土地を購入して建売住宅を計画する場合でも、計画線がどこに入り、どのような建物なら許可対象になるのかを確認する必要があります。

事業認可後は53条より厳しい制限になることがある

都市計画道路は、都市計画決定の段階と、都市計画事業として事業認可された後では扱いが違います。

事業認可後の事業地では、都市計画法第65条により、

  • 土地の形質変更
  • 建築物の建築
  • 工作物の建設
  • 一定の物件の設置・堆積

などについて許可が必要となり、都市計画法第53条の段階より事業施行を優先した規制になります。

したがって売却を考えるときは、

「都市計画道路かどうか」だけでなく、「事業認可されている区間か」まで確認する

ことが重要です。

事業認可後は民間への売却に届出が必要になる場合がある

さらに都市計画事業中の事業地では、都市計画法第67条の「土地建物等の先買い」が関係する場合があります。

同条では、一定の時期以降、事業地内の土地建物等を有償で譲渡しようとするとき、予定対価や譲渡相手などを事前に施行者へ届け出る仕組みがあります。

施行者は届出から30日以内に買い取る旨を通知できるため、通常の土地売買と同じスケジュールで進められない場合があります。

したがって、

「買主が見つかったからすぐ契約・引渡し」

ではなく、事業地に該当する場合には施行者への確認が先になります。

用地買収はどのように進む?

愛知県が案内している一般的な用地取得の流れは、おおむね次のようになっています。

  1. 事業説明
  2. 用地幅杭の設置
  3. 土地・建物等の調査
  4. 調査結果の確認
  5. 補償額の説明
  6. 契約
  7. 建物等の移転・土地の引渡し
  8. 補償金の支払い

つまり、都市計画道路の線が入っているだけでは、具体的な買収金額も時期も決まりません。

測量や建物調査を行い、取得する土地の面積などが確定してから具体的な補償交渉へ進みます。

行政の用地買収価格はどのように決まる?

愛知県は、公共用地として取得する土地価格について、

  • 近隣・類似地域の正常な取引事例
  • 地価公示価格
  • 基準地価格
  • 不動産鑑定士による鑑定評価

などを基に算出するとしています。

建物が買収範囲にかかる場合には、土地だけでなく、建物の配置・構造・敷地形状などを踏まえて移転方法を検討し、必要な移転費用等が補償対象となる場合があります。

したがって、

「道路予定地だから坪○万円」

と単純に決まるものではありません。

一部だけ買収される土地では「残地」が重要

実務上、特に注意したいのが敷地の一部だけを道路用地として取得されるケースです。

たとえば道路側を買収された結果、

  • 間口が狭くなる
  • 土地が三角形になる
  • 駐車場が取れなくなる
  • 建物配置が難しくなる
  • 従来と同じ利用ができなくなる

ことがあります。

土地収用制度では、一部収用によって残った土地の価格が減少して損失が生じる場合の「残地補償」や、一定の場合の残地収用請求なども制度化されています。実際の任意買収・補償でどこまで対象になるかは事業内容や補償基準によるため、施行者への個別確認が必要です。

売却査定でも同様に、買収予定部分だけを見るのではなく、買収後の残地がどのような土地になるかまで考える必要があります。

都市計画道路予定地の査定で見るポイント

都市計画道路がかかる土地では、一般的な立地や面積に加え、次の条件を確認します。

1.計画線が敷地の何%程度にかかるか

端だけなのか、敷地中央なのかによって建築への影響が違います。

2.現在の建物に計画線がかかっているか

建物にかかる場合は、将来の用地取得や建替えを買主がより慎重に判断します。

3.現在の事業段階

都市計画決定のみなのか、事業化が具体化しているのか、用地測量が始まっているのかによって、不確実性が違います。

4.買収後の土地形状

一部買収後の残地面積、間口、接道、建築可能性、駐車配置を確認します。

5.想定する買主

自己居住用住宅を探す人、住宅会社、事業者、投資家では都市計画道路への評価が異なります。

そのため、「都市計画道路にかかる土地は相場から一律○%下げる」といった査定方法は適切ではありません。

豊田安城線でも道路整備は区間ごとに進んでいる

安城市では主要地方道豊田安城線バイパスの整備が進められており、2026年4月25日には新田町から池浦町まで約0.9kmの区間が開通しました。

また、豊田安城線では過去に都市計画変更が行われ、一部区間について2車線から4車線への変更や計画幅員の変更も行われています。

このように都市計画道路は、長期間まったく同じ状態とは限りません。

所有地が道路計画に関係している場合は、古い資料だけで判断せず、現在の計画図と事業状況を確認する必要があります。

公共事業による売却では税金の特例が使える場合がある

公共事業のために土地・建物を譲渡した場合、一定の要件を満たせば、収用等に関する譲渡所得の特例が適用できる場合があります。

国税庁は、一定の収用等について、譲渡所得から最高5,000万円を控除する特例や、代替資産を取得した場合の課税の特例を案内しています。

ただし、適用には買取りの申出時期や譲渡時期、証明書などの条件があります。

「公共事業だから自動的に5,000万円控除になる」と判断せず、契約前に事業者から交付される書類や適用要件を確認し、必要に応じて税理士・税務署へ確認してください。

売却前に準備しておくとよい資料

都市計画道路にかかる不動産では、次の資料があると状況を整理しやすくなります。

  • 固定資産税納税通知書・課税明細
  • 登記事項証明書
  • 公図
  • 地積測量図・確定測量図
  • 境界確認書
  • 建築確認済証・検査済証
  • 都市計画道路が表示された都市計画図
  • 行政や事業者から届いた説明会資料
  • 用地測量・補償調査等の通知
  • 建物の図面

資料がすべてそろっていなくてもご相談いただけます。

特に「行政から何か書類が届いたが意味が分からない」という場合は、その書類を確認すると現在の事業段階を把握しやすくなります。

売却前に不動産会社へ確認したいこと

都市計画道路予定地を査定してもらう場合は、単に査定額だけを聞くのではなく、

「都市計画線は敷地のどこに入っていますか」

「現在は都市計画決定だけですか、事業認可されていますか」

「道路部分を除いた残地はどのように使えますか」

「住宅用地として売る場合、買主は何を気にしますか」

「行政の用地買収を待つ場合と、今売却する場合で何が違いますか」

といった点まで確認すると判断しやすくなります。

ヒロセット不動産への相談について

都市計画道路にかかる土地は、「今すぐ売るかどうか」を決める前に現状を整理することが重要です。

たとえば、

「道路の線がどこまで入っているのか分からない」

「行政から測量の通知が届いた」

「買収されるまで持っていた方がよいのか迷っている」

「相続した土地なので過去の経緯を知らない」

「道路予定地でも査定できるのか知りたい」

という段階でも構いません。

土地の位置、都市計画、道路、建物、残地の使い方、現在の事業段階を確認しながら、売却・保有・用地買収を待つ場合の違いを整理することができます。

まとめ|査定額より先に「計画線と事業段階」を確認する

安城市の都市計画道路予定地でも、売却そのものが一律にできなくなるわけではありません。

ただし、

都市計画決定だけなのか
事業認可まで進んでいるのか
用地測量や買収交渉が始まっているのか

によって確認事項は大きく変わります。

さらに、一部買収の場合は買収面積だけではなく、その後に残る土地の形状や建築可能性まで査定に影響します。

「道路予定地だから売れない」「行政がいつか買ってくれるから待てばよい」と決めつけず、まず現在の都市計画と土地条件を整理してから判断するとよいでしょう。

よくある質問

Q1.都市計画道路予定地でも普通に売却できますか?

都市計画道路の区域に含まれていることだけを理由に、民間への売却が一律に禁止されるわけではありません。ただし、事業認可後の事業地では都市計画法第67条による有償譲渡の届出などが必要になる場合があります。

Q2.都市計画道路予定地には家を建てられませんか?

必ず建築できないわけではありません。安城市では都市計画法第53条に基づく許可制度があり、一定の構造・階数などの要件を満たす建物は許可対象となります。ただし事業認可後は別の制限が適用されるため個別確認が必要です。

Q3.道路予定地になれば行政が必ずすぐ買い取ってくれますか?

都市計画決定だけで直ちに用地買収が始まるとは限りません。事業化、測量、補償調査などを経て用地取得へ進むのが一般的です。対象道路の現在の事業段階を確認する必要があります。

Q4.土地の一部だけ道路になる場合はどう査定しますか?

取得される面積だけでなく、残る土地の面積、形状、間口、接道、駐車計画、建築可能性を確認します。残地の利用価値によって、民間売却時の評価も変わります。

Q5.行政の用地買収と民間売却のどちらが得ですか?

一律には比較できません。行政による取得時期や取得範囲、現在の民間市場価格、残地の利用価値、税務上の特例などを比較する必要があります。具体的な補償額がまだ示されていない段階では、単純な金額比較はできません。

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道路予定地以外の部分を保有・活用する場合も含め、土地の使い方を整理したい方向けの相談ページです。
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参考情報

安城市「都市計画法第53条の許可申請」
安城市公式サイトで確認する

安城市「あんじょうマップ・都市計画情報の閲覧」
安城市の都市計画情報を確認する

愛知県「用地補償のご案内」
愛知県の用地取得・補償を確認する

国税庁「収用等により土地建物を売ったときの特例」
国税庁の収用等の税制を確認する