愛知県で100坪・200坪を超える広い土地を売るときは、最初から分筆せず、「現状のまま一括売却」「区画案を検討したうえでの売却」「宅建業者・開発事業者などへの一括売却」を比較することが重要です。 広い土地は総額が大きくなる一方、まとまった面積を必要とする事業者の対象にもなり得るため、面積だけで売り方を決めない方がよいからです。

比較するときは、売出価格ではなく、測量・分筆・造成・上下水道・解体などの費用を差し引いた手取り額、売却期間、売れ残りリスク、道路・間口・用途地域・開発条件まで確認します。安城市の300坪・500坪以上は大規模土地の売却方法、分筆判断は土地を分筆して売るべきケースで詳しく整理しています。

土地の分け方と買主の条件を組み合わせて比較する

100坪・200坪を超える土地だからといって、必ず分筆した方がよいわけではありません。

一括・分割は土地の売却単位、業者買取は買主の種類を示すため、重なる選択肢です。たとえば業者へ土地全体を売る方法も一括売却に含まれます。以下では、比較しやすい3つの計画として整理します。

売り方主な買主メリット注意点
土地全体を幅広く募集個人、法人、投資家、事業者など分筆せず土地全体を売れる総額が大きいと買主が限定されやすい
分割・分筆して売却住宅用地を探す個人など1区画当たりの価格を抑え、買主層を広げられる可能性測量・分筆・造成・インフラ・法令確認が必要。複数区画を複数の買主へ販売する計画は宅建業法上の確認も必要
事業者への一括売却建売会社、不動産会社、開発事業者など土地全体を事業用地として検討してもらえる可能性開発費・造成費・事業リスク等を織り込んだ価格になる

重要なのは、「どの方法の査定額が一番高いか」だけではありません。

売却価格から測量、分筆、造成、解体、仲介、保有期間中の負担などを差し引いた最終的な手取りと、売却に必要な時間・手間まで比較する必要があります。

なぜ100坪・200坪の土地は売り方を考える必要があるのか

土地が広くなると、単純に「坪単価×面積」で買主が見つかるとは限りません。

例えば50坪の住宅用地を探している人にとって、200坪の土地は必要以上に広く、土地総額も大きくなります。

一方で、200坪というまとまった広さだからこそ、

  • 複数戸の住宅
  • 賃貸住宅
  • 店舗
  • 事務所
  • 事業用地

などを検討する事業者の対象になる可能性もあります。

つまり、広いこと自体が欠点なのではありません。

「個人住宅向けの土地なのか」「事業者がまとめて利用する土地なのか」で売り方が変わるということです。

そのため、住宅用地として小さく分ける前に、一括の状態だからこそ検討できる買主がいないかを確認する意味があります。

広い土地を売る前に確認したい6項目

1.前面道路と接道

広い土地でまず確認したいのが道路です。

面積が200坪あっても、

  • 道路に接する間口が狭い
  • 奥行きが極端に長い
  • 前面道路が狭い
  • 高低差がある
  • 車両が入りにくい

といった条件があると、自由に区画を分けられないことがあります。

特に分割を考える場合は、分けた後の各区画から道路へどのように出入りするのかまで考えなければなりません。

面積だけを均等に半分にする方法が、土地利用上も最適とは限りません。

2.間口・奥行き・土地形状

200坪を100坪ずつに分けても、両方が同じ価値になるとは限りません。

例えば道路に広く接する土地を前後に分ければ、奥側の土地へ通路を確保する必要が生じる場合があります。

左右に分ければ、それぞれの間口が狭くなることもあります。

住宅用地として販売するなら、

  • 建物を配置できるか
  • 駐車スペースを取れるか
  • 車が出入りしやすいか
  • 庭や通路を確保できるか

まで考えて区画を検討する必要があります。

3.境界と測量

分筆をする場合、登記上の土地を複数の土地に分ける手続きが必要になります。

法務省は、土地の分筆登記について、土地を測量し、地積測量図などを作成して申請する手続きと案内しています。また、土地の調査・測量や分筆登記の代理は土地家屋調査士の業務です。

古くから所有している土地では、

  • 境界標が見つからない
  • 公図と現況が分かりにくい
  • 隣地所有者との確認が必要
  • ブロック塀や建物が越境している

といった問題が見つかることもあります。

ただし、査定を受ける前から必ず分筆登記を完了させる必要はありません。

まず机上で区画案を作り、一括売却と分割案を比較してから、実際に測量・分筆へ進む方法も考えられます。

4.用途地域・市街化区域・市街化調整区域

同じ200坪でも、どこにある土地かによって利用できる用途は異なります。

特に確認したいのが、

  • 用途地域
  • 建ぺい率・容積率
  • 市街化区域か市街化調整区域か
  • 地区計画等の有無
  • 農地かどうか

です。

市街化調整区域の場合、「土地が広いから住宅用に何区画かへ分ければよい」と単純には判断できません。

建築や開発が可能か、既存建物がどのような許可で建てられているかなど、物件ごとの確認が必要です。

5.分割した場合に開発許可等が関係しないか

ここは200坪前後の土地で特に注意したいポイントです。

200坪は約661㎡あります。

愛知県所管の市街化区域では原則500㎡未満の開発行為は許可不要ですが、区域による例外があります。名古屋市も、市街化区域では原則500㎡以上の開発行為を許可対象としています。200坪は約661㎡なので、瑞穂区などで分割・造成を考える場合も、面積と工事内容を合わせて確認します。出典:名古屋市の開発許可制度。

また、土地を登記上分筆しただけで直ちに開発許可が必要になるという意味ではありません。

都市計画法上の「開発行為」は、主として建築物の建築等を目的とした土地の区画形質の変更です。道路新設、造成などを伴う計画では、事前に自治体へ確認する必要があります。安城市でも、市街化区域の500㎡未満の開発行為は許可不要と案内する一方、開発行為に当たる土地の区画・形状・質の変更について個別の取扱いを示しています。

そのため、200坪を超える土地では、分筆図を確定する前に行政上どのような手続きが必要になる可能性があるか確認しておくことが重要です。

6.上下水道・排水・造成・擁壁

分割すると、土地そのものだけでなくインフラも分けて考える必要があります。

例えば、

  • 給水管を各区画へ引き込めるか
  • 排水先を確保できるか
  • 新たな道路が必要か
  • 高低差を処理する必要があるか
  • 擁壁工事が必要か

などです。

販売価格の合計が一括売却より高く見えても、こうした工事費を差し引くと結果が変わる可能性があります。

一括売却が向いているのはどんな土地?

広い土地をそのまま売る方法は、「何も工夫していない売り方」ではありません。

一括だからこそ価値がある土地もあります。

例えば、

  • まとまった面積を必要とする買主が想定できる
  • 間口が広く一体利用しやすい
  • 事業用地として検討できる
  • 分割すると不整形地や旗竿地が生じる
  • 道路や上下水道の新設費用が大きい
  • 売れ残る区画を残したくない

といった場合です。

特に事業者は、土地を「何坪あるか」だけではなく、購入後にどのような計画が成立するかを見ます。

そのため、一括売却では一般の住宅購入者だけでなく、建売会社、開発事業者、収益物件を検討する事業者なども含めて買主を考えることが重要です。

分割・分筆して売る方が検討しやすいケース

一方、土地全体では総額が大きく、住宅用地としての買主が限られる場合は、区画を小さくすることで検討者が増える可能性があります。

例えば、

  • 道路に十分な間口がある
  • 各区画を整った形に分けられる
  • 各区画に建物と駐車場を配置しやすい
  • 周辺で同程度の住宅用地を検討する需要が見込める
  • 分割に必要な工事が大きくない

場合などです。

ただし、先に分筆登記をするのではなく、「仮に2区画ならどうか」「3区画ならどうか」と机上で検討することをおすすめします。

買主が希望する面積と、所有者が先に決めた分筆面積が一致するとは限らないからです。

個人所有者が複数区画を販売するときは宅建業法にも注意

広い土地を複数区画へ分けて、複数の買主に順次販売する場合には、もう一つ確認が必要です。

国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、宅地建物の取引を「業」として行うかどうかについて、取引目的、取得経緯、販売方法、反復継続性などを総合的に判断するとしています。

さらに、1回の販売行為であっても、区画割りした宅地を複数の者へ販売する場合は、反復継続的な取引に該当するとされています。

そのため、「自分の土地だから何区画に分けても自由に何人へでも売れる」と決めつけず、複数区画を販売する計画は事前に宅建業法上の確認が必要です。

業者買取は「安いかどうか」だけで判断しない

広い土地では、不動産会社、建売会社、開発事業者などへ土地全体を売却する方法もあります。買主が事業者でも、売買を別の不動産会社が仲介する場合は仲介手数料が生じ得ます。

事業者は購入後、

  • 分筆
  • 開発許可等の手続き
  • 造成
  • 道路整備
  • 上下水道工事
  • 建物建築
  • 再販売

などを行うことを前提に価格を検討することがあります。

そのため、買取価格にはこうした費用や事業リスクが反映されます。

一方、売主側では自ら複数区画を販売する必要がなくなるため、一括でどこまで事業者に任せられるのかも比較材料になります。

「仲介なら高い」「買取なら安い」と最初から決めるのではなく、

  • 一括仲介の場合の想定価格
  • 分割した場合の売却総額
  • 分割に必要な費用
  • 売却に必要な期間
  • 事業者による一括買取価格

を同じ条件で並べると判断しやすくなります。

「売却価格の合計」ではなく最終的な手取りで比べる

分割案を検討するときに見落としやすいのが、費用です。

比較するときは、概念的には次のように考えます。

一括売却の手取り
= 売却代金 − 売却に必要な諸費用・税金 − 借入返済額

分割売却の手取り
= 各区画の売却代金合計 − 測量・分筆・造成・インフラ・売却費用・税金 − 借入返済額

土地・建物の譲渡所得は、原則として譲渡価額から取得費と譲渡費用などを差し引いて計算します。国税庁は、土地等を売るために直接要した測量費などを譲渡費用の例として案内しています。実際の税務上の取扱いは費用の内容や売却状況によって異なるため、個別には税理士等への確認が必要です。

「分ければ坪単価が上がりそう」という理由だけではなく、費用を差し引いた後にいくら残るのかで比較してください。

買主は広い土地のどこを見るのか

売主は土地面積や坪単価を見がちですが、買主は「購入後に何ができるか」を見ています。

住宅用地として検討する買主なら、

  • 建物配置
  • 駐車台数
  • 間口
  • 前面道路
  • 高低差
  • 上下水道
  • 境界

が重要になります。

建売会社などの事業者なら、それに加えて、

  • 何区画にできるか
  • 各区画の商品性
  • 道路や造成工事
  • 開発許可等の必要性
  • 販売後に売れ残りやすい区画がないか

などを検討します。

事業用地なら、

  • 用途地域
  • 前面道路
  • 車両動線
  • 周辺土地利用
  • 建築できる用途・規模

なども重要です。

つまり、同じ200坪でも「住宅を建てる人」「分譲する会社」「事業用地を探す会社」では土地の見方が違います。

愛知県で100坪・200坪超の土地を売るときのポイント

愛知県、とくに西三河や名古屋市周辺では、市街地の住宅地だけでなく、市街化調整区域、農地に近い土地、工業系用途地域、幹線道路沿いなどさまざまな土地があります。

そのため、

「200坪あるから2区画にする」

「100坪ずつなら住宅用地として売れる」

と面積だけで判断することはできません。

特に愛知県では、開発許可について県が所管する地域と、市が許可事務を行う地域があります。県も、指定都市等や事務処理市では取扱いが異なる場合があると明記しています。

土地所在地が分かれば、少なくとも次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 市街化区域・市街化調整区域を確認する
  2. 用途地域・建ぺい率・容積率を確認する
  3. 前面道路・接道・間口を確認する
  4. 境界・測量資料を確認する
  5. 一括利用した場合の買主を考える
  6. 分割案を机上で作る
  7. 開発許可、造成、上下水道等を確認する
  8. 一括・分割・買取の価格と手取りを比較する

この順番なら、「先に分筆してしまった」「先に造成したが想定した売り方ができなかった」といった事態を避けやすくなります。

不動産会社へ相談する前に準備できる資料

すべてそろっていなくても相談できますが、次の資料があると土地の条件を整理しやすくなります。

  • 固定資産税納税通知書
  • 登記事項証明書
  • 公図
  • 地積測量図
  • 確定測量図・境界確認書
  • 古い測量図
  • 建築確認関係書類
  • 過去の売買契約書
  • 相続関係資料
  • 農地の場合は地目等が分かる資料
  • 土地や前面道路の写真

資料が見つからない場合でも、所在地から何を確認すべきか整理できます。

広い土地の売却を相談するときに整理したいこと

査定額だけでなく、土地全体なら誰が買主になり得るか、分ける場合は何区画を想定できるか、各区画に建物・駐車場を配置できるか、測量・造成・上下水道・開発手続がどの程度必要かを確認します。

一括仲介、区画案を示した売却、事業者への一括売却について、価格・費用控除後の手取り・売却期間・手間・法令上の条件を同じ表で比較すると判断しやすくなります。先に分筆や造成を決める必要はありません。

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参考情報

愛知県「開発許可制度の概要」

国土交通省「宅地建物取引業法 法令改正・解釈について」

法務省「土地家屋調査士の業務」

国税庁「土地や建物を売ったとき」