相続空き家の3,000万円特別控除は、現行制度では2027年12月31日までの一定の譲渡が対象です。ただし、相続開始日から決まる個別期限が先に来る場合があります。制度全体の期限だけを見て売却日を決めないでください。
相続空き家の3,000万円特別控除では、制度全体の期限だけでなく、相続開始日から決まる個別期限も確認することが重要です。マイホームの3,000万円控除、10年超所有の軽減税率、取得費加算など他の特例との比較は関連記事で詳しく確認できます。
結論|「2027年12月31日」と「自分の個別期限」の早い方を確認する
被相続人の居住用財産に係る3,000万円特別控除は、現行制度では2027年12月31日までの一定の譲渡が対象です。
これとは別に、相続開始の日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡するという個別期限があります。したがって、実際には制度全体の期限と個別期限の両方を確認する必要があります。
相続開始日を置いた期限の計算例
- 2023年10月1日に相続開始:個別期限は原則2026年12月31日。2027年末まで待てない
- 2024年10月1日に相続開始:個別期限は原則2027年12月31日。現行制度全体の期限と一致
- 2025年10月1日に相続開始:個別期限だけなら2028年12月31日だが、現行制度では2027年12月31日が先に来る
- 2026年10月1日に相続開始:個別期限だけなら2029年12月31日だが、現行制度では2027年12月31日が先に来る
上記は各年10月1日に相続が始まったと仮定した例です。実際の期限は、相続開始の具体的な日付から計算します。特例の適用には日付以外にも複数の要件があるため、実際の申告では税務署または税理士へ確認してください。
まず確認したい対象家屋の基本条件
期限内に売れば自動的に特例を使えるわけではありません。対象となる被相続人居住用家屋には、主に次のような条件があります。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
- 区分所有建物登記がされている建物ではないこと
- 相続開始の直前に、原則として被相続人以外に居住していた人がいなかったこと
- 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合は、一定の例外要件を確認すること
「古い戸建てだから対象」「親が施設に入っていたから対象外」と決めつけず、登記事項や入所状況を確認します。
家屋と敷地の取得状況も確認する
国税庁のチェックシートでは、売却した人が対象家屋とその敷地の両方を相続等により取得したかを確認します。家屋のみ、または敷地のみを取得した場合は、この特例の適用対象にならないため注意が必要です。
複数の相続人がいる場合は、遺産分割の内容によって誰が家屋・土地を取得したかが重要になることがあります。分割方法を決める前に税務上の影響を確認する価値があります。
相続後に住む・貸す・事業利用すると対象外になる場合がある
対象家屋は、相続開始から売却までの間に、相続人等の居住用、貸付用、事業用に使われていないことなどが求められます。
「いったん親族が住んでから売る」「短期間だけ貸す」といった使い方を考えている場合は、その前に特例への影響を確認してください。
売却代金は原則1億円以下などの条件がある
対象となる譲渡には、売却代金が1億円以下であることなどの要件があります。分割して売却した場合や、他の相続人による売却がある場合などは判定方法に注意が必要です。
個別の売買条件が決まった段階で、税理士・税務署等へ確認するのが安全です。
取得した相続人が3人以上の場合は控除上限に注意
2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋とその敷地等を相続・遺贈により取得した相続人が3人以上いる場合、1人当たりの特別控除限度額は2,000万円です。必ず全員が3,000万円ずつ控除できるわけではありません。
2024年以後は売却後に取壊す方法も対象になり得る
2024年1月1日以後の一定の譲渡では、売却時点で家屋が残っていても、譲渡した年の翌年2月15日までに家屋の全部の取壊し等、または一定の耐震改修が行われる場合に対象となり得ます。
そのため、特例を使いたいという理由だけで売主が先に解体する必要があるとは限りません。ただし、契約条件や工事完了時期、証明書類の準備が関係するため、売買契約前に段取りを整理してください。
古家を残して売るか解体するかという不動産実務の比較は、安城市で古い家を売るなら古家付きと解体更地どちらがいい?など地域別の記事で扱っています。
市区町村の確認書は「税制適用の確定通知」ではない
確定申告では、所在地の市区町村が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」などの書類が必要になります。
ただし、市区町村が確認書を交付したことだけで、税務上の特例適用が確定するわけではありません。最終的な適用可否は税務上の要件全体で判断されます。
必要書類・受付方法・交付までの期間は自治体や時期によって変わり得るため、売却が具体化した段階で物件所在地の市区町村の最新案内を確認してください。
期限前に確認する7項目
- 相続開始日
- 家屋の建築年月日
- 相続開始直前の居住状況
- 老人ホーム等への入所があった場合の状況
- 相続後に居住・賃貸・事業利用していないか
- 誰が家屋・敷地を取得したか
- 想定売却価格と、建物を残す・取壊す等の売却方法
この7項目を先に整理すると、「そもそも特例候補か」「いつまでに売却を進めるべきか」を確認しやすくなります。
取得費加算など他の特例と比較したい場合
相続税を支払っている場合は、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例が候補になることがあります。相続空き家の特別控除とは同じ譲渡で併用できないため、両方が候補になる場合は税額を比較する必要があります。
マイホームの3,000万円控除、10年超所有の軽減税率、取得費加算、低未利用土地の控除などを横断して確認する場合は、不動産売却の税金特例を比較するページをご覧ください。
期限が近い場合でも先に解体・値下げを決めない
期限がある特例だからといって、十分な査定や土地条件の確認をせずに解体・値下げを急ぐ必要はありません。
まず特例の適用可能性と個別期限を確認し、そのうえで現況売却、契約後の取壊し、更地売却などの手取りを比較します。税制と不動産の売り方を同時に整理することが重要です。
まとめ
相続空き家の3,000万円特別控除は、現行制度では2027年12月31日までの一定の譲渡が対象ですが、相続開始時期によってはそれより早く個別期限が来ます。
まず相続開始日、建築年月日、居住状況、相続後の利用、家屋・敷地の取得者を確認してください。他の税制との比較や最終的な適用可否・税額は、税理士または税務署へ確認するのが安全です。
参考情報
- 国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(2026年4月1日現在法令等)
- 国税庁の上記案内から、適用する譲渡年のチェックシート・申告書類も確認できます。
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」



