岡崎市では現在、一般競争入札で落札に至らなかった市有地4件について、先着順による売払いを行っています。対象は福寿町・舞木町・六供町・美合町です。

価格だけを見ると坪約2.3万円から約15.5万円まで幅がありますが、今回の4件は「安い土地を先着順で買える」というだけの話ではありません。接道、建築可否、市街化調整区域、高低差、擁壁、越境、土地の利用履歴など、物件ごとに確認すべき条件が大きく異なります。

むしろ今回の市有地は、「土地の価値は面積と坪単価だけでは判断できない」という不動産の特徴がよく分かる事例です。

※この記事は2026年9月20日時点で岡崎市が公表している情報をもとに作成しています。先着順のため、申込み・売却状況は変わる可能性があります。購入を検討する場合は、必ず岡崎市へ最新状況を確認してください。

この記事で分かること

  • 岡崎市が先着順で売却している市有地4件の場所・面積・価格
  • 4件の坪単価と都市計画上の違い
  • 福寿町・舞木町で特に重要となる「接道」の問題
  • 六供町・美合町で確認したい高低差・擁壁・越境・土地履歴
  • 市有地の価格と一般的な土地相場を単純比較できない理由
  • 岡崎市で自分の土地を売却するときにも確認したいポイント

先に結論|4件は「価格」より土地をどう使えるかの確認が重要

岡崎市が先着順で売却している4件は、いずれも条件がかなり異なります。

特に注意したいのは、売却価格÷面積で算出した坪単価だけでは、土地の価値や購入判断はできないことです。

福寿町は商業地域ですが、市の物件調書では北側道路が建築基準法上の道路ではなく、「本物件単独での建築はできません」と記載されています。

舞木町は名鉄名古屋本線「名電山中駅」から約500mですが、市街化調整区域にあり、現在の接面道路も建築基準法上の道路ではありません。

一方、美合町は南・西・北の3方向に道路がありますが、南向きの斜面や擁壁、高低差、越境などの確認事項があります。

つまり、土地は「駅に近い」「坪単価が安い」「市街化区域だから使いやすい」といった一条件だけでは判断できません。

岡崎市が先着順で売却している市有地4件

2026年9月20日時点で岡崎市公式ページに掲載されている物件は次の4件です。

物件所在地実測面積坪数都市計画売却価格参考坪単価
29-6福寿町72番・73番1・87番355.33㎡107.48坪市街化区域・商業地域894万円約8.32万円/坪
30-2舞木町字小井沢36番2403.73㎡122.12坪市街化調整区域286万円約2.34万円/坪
30-4六供町字三本松13番392.22㎡118.64坪市街化区域・第一種住居地域990万円約8.34万円/坪
7-2美合町字老婆懐28番247572.11㎡173.06坪市街化区域・第一種住居地域2,680万円約15.49万円/坪

ここでいう坪単価は、岡崎市の売却価格を面積で割った参考値です。

岡崎市内の一般的な土地の成約相場を示す数字ではありません。

今回の4件は、道路・高低差・過去の利用状況など特殊な条件を含むため、周辺の住宅用地と坪単価だけを比較しないことが大切です。

①福寿町|商業地域でも「接道」が最大の確認ポイント

福寿町の市有地は355.33㎡、約107.48坪で、売却価格は894万円です。

用途地域は商業地域で、岡崎市の資料では名鉄「東岡崎駅」まで約1,800m、名鉄バス「魚町」停まで約300mとされています。

ただし、この土地で最も重要なのは立地や用途地域ではなく接道条件です。

岡崎市の物件調書では、

「北側幅員約1.5mの舗装法定外道路に接面」

とされ、この道路について建築基準法上の道路ではないため接道義務を満たしておらず、本物件単独での建築はできないと明記されています。

さらに、市の資料には、

  • 敷地内に電柱・支線がある
  • 敷地上空を配電線が通過
  • 北側通路より約0.4m高い
  • 西側隣地の人が敷地を通行している可能性がある

といった事項も記載されています。

商業地域という文字だけを見ると利用範囲が広そうに感じますが、建物を建てられるかどうかは別問題です。

これは一般の土地売却でも同様で、用途地域より先に「どの道路に、どのように接しているか」を確認した方がよい土地があります。

②舞木町|122坪で286万円だが、市街化調整区域と道路を要確認

舞木町字小井沢の土地は403.73㎡、約122.12坪。売却価格は286万円です。

4件の中では最も坪単価が低く、岡崎市の資料では名鉄「名電山中駅」まで約500mとされています。

しかし、この土地も価格だけで判断することはできません。

まず市街化調整区域です。

建築物を建てる場合は、都市計画法上の許可や立地基準について個別確認が必要になります。

さらに、市の物件調書では南東側に約1.8mの道路がありますが、建築基準法上の道路ではなく、接道義務を満たしていないとされています。

現状についても、

  • 徒歩では敷地へ入れる
  • 車では進入できない
  • 道路との間に約2mの高低差がある部分がある
  • 敷地中央に井戸がある
  • 公共下水道処理区域外
  • 都市ガス供給区域外

などの条件があります。

「駅から約500m」「122坪」「286万円」という数字だけを見るのと、実際の土地利用条件を確認した後では、見え方がかなり変わる土地です。

なお、市街化調整区域の立地基準は改正されることがあります。岡崎市も2025年10月に立地基準の一部を改正しています。

購入や建築を検討する場合は、古い物件調書だけで判断せず、現在の基準で岡崎市建築指導課へ確認する必要があります。

③六供町|市街化区域でも高低差・境界・過去の土地利用を確認

六供町字三本松の土地は392.22㎡、約118.64坪。売却価格は990万円です。

第一種住居地域で、北側約4.7mの舗装市道、西側約4.5mの法定外道路に接しています。

福寿町や舞木町と比較すると道路条件は異なりますが、この土地には別の確認事項があります。

岡崎市の物件調書によると、一部隣接地の地権者から境界について異論はないものの筆界立会確認書への署名が得られず、地積更正登記ができない状態とされています。

さらに、市の資料には、

  • 平成10年12月まで墓地として利用されていた
  • 平成23年に墓地廃止許可を受け、雑種地へ地目変更
  • 旧藩時代の処刑場の一つと伝えられている旨
  • 敷地内に電話柱がある
  • ごみステーションがある
  • 道路より約3~3.5m高い部分がある

ことなどが明記されています。

これらは購入者が判断するうえで無視できない事項です。

特に土地の過去の利用履歴や高低差は、将来売却するときの買主の判断にも影響する可能性があります。

「第一種住居地域だから住宅用地」と単純に考えるのではなく、建築計画、造成費、土地履歴、境界、将来の流通性まで含めて検討する必要があります。

④美合町|3方向道路でも斜面・擁壁・越境を確認

美合町字老婆懐の土地は572.11㎡、約173.06坪。売却価格は2,680万円です。

第一種住居地域で、道路については、

  • 北側:約4.1m
  • 南側:約6m
  • 西側:約8m

の3方向に接しています。

南側と西側は建築基準法第42条第1項第1号道路、北側は同法第42条第2項道路とされています。

道路だけを見れば他の3件とは印象が異なります。

一方で土地そのものには特徴があります。

岡崎市の調書によると、南向きの斜面で勾配は30%程度とされ、南側道路との高低差は約2.6mあります。

また、

  • 擁壁築造時の図面が残っておらず基礎の施工状況が不明
  • 隣地の塀やコンクリートブロック等の越境がある
  • 南側道路側溝の一部が敷地へ越境
  • 令和3年度まで「三交緑ヶ丘こども広場」として使用
  • 南側擁壁に町内会のごみステーションがある
  • 砂防指定地内

などが記載されています。

面積が173坪あるからといって、そのすべてを平坦な宅地と同じように利用できるわけではありません。

建築プランを検討する場合は、建物配置だけでなく、造成・擁壁・進入方法・排水なども含めて確認したい土地です。

4件を比べると「安い土地には理由がある」とは限らないが、条件確認は必須

今回の4物件を見ると、坪単価には約2.3万円から約15.5万円まで大きな差があります。

しかし、

「坪単価が安い=割安」

「坪単価が高い=条件が良い」

とは判断できません。

土地価格を見るときは少なくとも、

確認項目なぜ確認するのか
接道建築できるか、車が入れるかに影響する
市街化区域・調整区域建築・開発の可否や手続きが変わる
土地形状建物・駐車場の配置に影響する
高低差造成・擁壁・階段等の費用に影響する
上下水道引込みや浄化槽等の費用が生じる場合がある
境界・越境将来の建築や売却に影響する
土地履歴購入者の判断や利用計画に影響する場合がある
電柱・ごみ置場等建物配置や出入口に影響する場合がある

といった条件を一緒に確認する必要があります。

市有地だから通常の土地より安全とは限らない

市が売主だからといって、「何も調べず購入できる土地」という意味ではありません。

岡崎市自身も、今回の売払いについて現況有姿で引き渡すこと、現地や近隣状況を事前確認すること、土壌・地盤・地下埋設物の調査を行っていないことなどを明示しています。

工作物、擁壁、上下水道設備、越境物、樹木などについても、購入後に買主側で対応が必要になる場合があります。

購入価格とは別に、

「土地を目的どおり使える状態にするまでいくらかかるか」

を見ることが重要です。

岡崎市では現在、盛土規制法にも注意

古い物件調書には「宅地造成等規制法」など旧制度に基づく記載もありますが、岡崎市では2025年4月1日から、市街化区域全域と市街化調整区域全域が盛土規制法に基づく宅地造成等工事規制区域に指定されています。

そのため、高低差のある土地で切土・盛土・擁壁工事などを計画する場合は、現在の盛土規制法に基づく許可の要否について確認が必要です。

今回のように以前から売却対象となっている市有地では、物件調書の作成時期が古いものもあります。

購入判断では「物件調書に書いてあるから現在も同じ」と考えず、都市計画・建築・造成・道路などは最新情報を確認してください。

市有地4件から分かる、岡崎市で土地を見るときのポイント

今回の4件は、岡崎市内でも土地条件が大きく異なることをよく示しています。

福寿町では、商業地域であっても接道が土地利用を大きく左右します。

舞木町では、駅距離だけでなく市街化調整区域・接道・車両進入の可否が重要です。

六供町では、道路に加えて高低差や土地履歴、境界の状況まで確認する必要があります。

美合町では、複数方向に道路があっても、斜面・擁壁・越境などが建築計画や費用に影響します。

これは市有地に限った話ではありません。

岡崎市で自宅、相続した土地、空き家、遊休地などを売却するときにも、買主は同じように「この土地をどう使えるのか」を見ています。

自分の土地を売る場合も「市有地の坪単価」をそのまま相場にしない

近所の市有地が「坪8万円程度で売られている」と聞くと、

「自分の土地も坪8万円くらいなのでは?」

と考えるかもしれません。

しかし、今回の物件のように土地には個別条件があります。

同じ町内であっても、

  • 建築できる土地か
  • 4m以上の道路に接しているか
  • 間口は十分か
  • 高低差があるか
  • 擁壁があるか
  • 上下水道が利用できるか
  • 土地の形は整っているか
  • 分筆できるか
  • 想定する買主は個人か事業者か

などによって評価は変わります。

市有地の売却価格は参考情報の一つにはなりますが、そのまま周辺土地の査定坪単価として使うことは適切ではありません。

市有地の申込みは先着順|購入するなら市へ最新状況を確認

岡崎市によると、個人・法人とも申込みでき、共有名義での申込みも可能です。ただし、市税等の滞納がないことなど一定の申込資格があります。

個人の場合は、原則として申込書兼誓約書、住民票、市税等の完納証明書などが必要です。

受付後に資格審査が行われ、買受人が決定します。売買契約締結時には売買代金の1割以上の契約保証金を納付し、その後、指定期限までに残代金を支払う流れが示されています。

なお、受付時間については、2026年9月20日に確認した岡崎市公式Webページでは「平日9時から16時」、市有地先着売払物件概要PDFでは「8時30分から17時15分」と記載が分かれています。申込み前に岡崎市行政経営課財産管理係へ最新の受付時間を確認してください。

先着順のため、このページ公開後に申込みが入り、募集が終了する可能性もあります。

土地を買う場合も売る場合も「何に使える土地か」を先に確認する

今回の市有地4件を比べて分かるのは、不動産価格は単純な「坪数×坪単価」だけでは決まらないということです。

特に土地では、

道路→法令→形状・高低差→境界→インフラ→利用方法

の順番で整理すると、価格の意味が理解しやすくなります。

これは土地を購入するときだけでなく、所有している土地を売却するときも同じです。

「近所はいくらで売れているか」を確認するだけではなく、自分の土地がどのような買主に、どのような使い方で評価されるのかまで確認しておくことが大切です。

ヒロセット不動産への相談について

土地を所有しているからといって、すぐ売却する必要はありません。

「自分の土地は建築できるのか」

「道路条件は価格に影響するのか」

「市街化調整区域なのでどう考えればよいか」

「相続した土地を売るか残すか決まっていない」

といった段階でも、まず土地条件を整理することはできます。

岡崎市をはじめ、西尾市・安城市・刈谷市・碧南市・高浜市・豊田市・幸田町・名古屋市周辺で土地や不動産について迷われている場合は、売却を決める前の状況整理からご相談ください。

まとめ|今回の市有地は「坪単価より利用条件を見る」好例

岡崎市が先着順で売却している4件は、価格帯も土地条件も大きく異なります。

福寿町では接道、舞木町では市街化調整区域と接道、六供町では土地履歴・境界・高低差、美合町では斜面・擁壁・越境などが重要な確認事項です。

価格だけを見るのではなく、「実際に何に使えるのか」「利用するために追加費用がどれだけ必要になるのか」まで確認することで、初めて価格を評価できます。

これは、市有地を買う人だけではなく、岡崎市で土地を所有している人にとっても同じです。

売るかどうかを決める前でも、道路・境界・都市計画・土地形状などを一度確認しておけば、将来の売却・活用・相続を考える材料になります。

よくある質問

Q.岡崎市の市有地は一般の個人でも購入できますか?

はい。岡崎市の案内では個人・法人とも申込み可能で、共有名義による申込みもできます。ただし、市税等の滞納がないことなど参加資格があります。購入前に最新の先着売払要領を確認してください。

Q.福寿町の土地には住宅を建てられますか?

岡崎市が現在公開している物件調書では、北側道路が建築基準法上の道路ではなく接道義務を満たしていないため、「本物件単独での建築はできません」と明記されています。具体的な利用方法は岡崎市等への個別確認が必要です。

Q.舞木町は駅に近いのに、なぜ価格が低いのですか?

価格設定理由を一要素だけで断定することはできません。ただし、市街化調整区域、建築基準法上の接道を満たしていないこと、車両進入ができないこと、高低差など複数の条件が物件調書に記載されています。

Q.市有地の売却価格を近所の土地相場として使えますか?

そのまま使うことは適切ではありません。今回の4件には接道、高低差、市街化調整区域、土地履歴、擁壁など個別条件があります。周辺相場を調べる場合は、条件の近い実際の取引事例と比較する必要があります。

Q.現在も4件とも購入できますか?

2026年9月20日の確認時点では、岡崎市公式ページに4件が掲載されています。ただし先着順のため、Web更新前に申込みが入っている可能性もあります。購入を検討する場合は岡崎市行政経営課財産管理係へ最新状況を確認してください。

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お問い合わせ

参考情報

岡崎市「先着による市有地の売払い」
https://www.city.okazaki.lg.jp/shisei/vision/1008273/1008288/1008290.html

岡崎市「先着売払物件概要」
https://www.city.okazaki.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/008/290/senchakubukkengaiyou_r8.pdf

岡崎市「宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく規制区域」
https://www.city.okazaki.lg.jp/business/kenchiku/1005160/1005162.html

※市有地の募集状況、都市計画、道路、建築・開発・造成に関する規制は変更される可能性があります。購入・建築等を検討する際は、岡崎市その他の関係機関へ最新情報を確認してください。