不動産を売るときに最初に迷いやすいのが、「仲介で売るか、買取にするか」、そして仲介を選んだ場合の「一般媒介・専任媒介・専属専任媒介のどれにするか」です。

結論からいうと、どれか1つが常に正解というわけではありません。売却価格・手取り額・売却までの期間・手間・公開範囲を整理して、自分の条件に合う方法を選ぶことが大切です。

まずは30秒で整理

先に決めるのは「売り方」ではなく、売却条件です

価格だけでなく、いつまでに売りたいか、一般公開してよいか、最終的にいくら手元へ残したいかまで整理すると判断しやすくなります。

基本の考え方: 売却価格 − 売却に必要な費用 = 最終的な手取り額。この手取り額と売却時期をセットで比較します。

仲介と買取の違い|まずはここを比較

不動産売却における仲介と買取の違い
仲介は市場で買主を探す方法、買取は不動産会社・買取事業者が直接買主になる方法です。
仲介と買取、何が違う?価格・時期・手間の3つで比べると判断しやすくなります仲介買取¥● 市場で広く買主を探す● 高く売れる可能性を追いやすい● 売却まで時間がかかることがある● 不動産会社等が直接買う● 売却時期を決めやすい● 仲介より価格が低くなることがある価格だけでなく「最終手取り」と「売却時期」で比較
このページ専用図解:仲介と買取は、価格だけでなく売却時期・手間も含めて比較します。
仲介

市場で買主を探す

一般の購入希望者、法人、投資家などへ販売します。市場で幅広く買主候補を探せる一方、成約までの期間は読みにくくなります。

向きやすい人: 売却期限に余裕があり、価格を重視したい方
買取

不動産会社等が直接買う

不動産会社や買取事業者が買主になります。条件が合えば売却時期を決めやすく、一般公開や内覧を抑えられる場合があります。

向きやすい人: 時期・手間・確実性を重視したい方
比較項目仲介買取
買主一般個人・法人・投資家など不動産会社・買取事業者など
価格市場で買主を探して決まる買取事業者の査定・条件で決まる
売却期間買主が決まるまで読みにくい条件が合えば予定を立てやすい
広告・内覧販売活動・内覧が発生しやすい一般公開や内覧を抑えられる場合がある
仲介手数料成約時に発生する場合がある買取会社が直接買主なら通常は発生しない

※実際の契約条件は取引ごとに異なります。第三者の不動産会社が買取取引を仲介する場合などは、仲介手数料が発生することがあります。

どちらを選ぶ?判断は「価格・時期・手間」の3点

価格少しでも高く売る可能性を重視するなら、まず仲介を検討しやすくなります。
売却時期相続・住み替えなどで期限があるなら、買取も同時に比較すると判断しやすくなります。
手間内覧・広告・長期管理の負担を抑えたい場合は、買取が合うことがあります。

最初から一方に決める必要はありません。一定期間は仲介で販売し、期限を決めて買取も比較する方法もあります。

媒介契約3種類の違い|一般・専任・専属専任

仲介で売る場合は、不動産会社と媒介契約を結びます。違いは主に、何社へ依頼できるか・自分で買主を見つけられるか・レインズ登録・報告頻度です。

媒介契約3種類を一目で比較違いは「何社に頼めるか・自分で買主を探せるか・報告頻度」一般媒介専任媒介専属専任媒介複数社へ依頼できる自分で買主を見つけるできる報告頻度法律上の義務なし複数社へ依頼できない自分で買主を見つけるできる報告頻度2週間に1回以上複数社へ依頼できない自分で買主を見つける原則できない報告頻度1週間に1回以上迷ったら「自由度・管理のしやすさ・報告頻度」で比較
このページ専用図解:3種類の違いを、売主が判断しやすい3項目に絞って整理しています。
3種類を比較
一般媒介複数社へ依頼できます。自己発見取引も可能。法律上、レインズ登録義務・定期報告義務はありません。
専任媒介依頼は1社。自己発見取引は可能。レインズ登録義務があり、売主への報告は2週間に1回以上です。
専属専任媒介依頼は1社。自己発見取引は原則不可。レインズ登録義務があり、売主への報告は1週間に1回以上です。

迷ったら、管理のしやすさ・自由度・報告頻度の3点で比較します。

項目一般媒介専任媒介専属専任媒介
複数社へ依頼可能不可不可
自己発見取引可能可能原則不可
レインズ登録義務法律上なしありあり
レインズ登録期限―契約後7日以内※契約後5日以内※
売主への定期報告法律上なし2週間に1回以上1週間に1回以上
法律上の契約期間上限法定上限なし3か月以内3か月以内

※不動産会社の休業日は日数に算入しません。一般媒介についても、国土交通省の標準媒介契約約款では有効期間を3か月以内としています。

専任媒介でも他社の買主へ情報は届く

専任媒介・専属専任媒介は、売主が売却を依頼する不動産会社を1社にする契約です。「その会社の顧客にしか売れない」という意味ではありません。

レインズの流れ
売主
→
売主側の不動産会社
→
レインズ
→
他社
→
他社の購入希望者

「1社に依頼すること」と「1社だけで買主を探すこと」は同じではありません。

2025年1月からは、宅建業者によるレインズへの物件の取引状況の登録が義務化されています。専任媒介・専属専任媒介を結んだ場合は、登録証明書を受け取り、自分でも登録内容や取引状況を確認することが大切です。

土地・空き家・相続不動産は「先に解体」が正解とは限らない

相続した実家や空き家の売却方法を家族で検討するイメージ
相続した実家や空き家は、解体・売却を急いで決めず、土地・建物・家族の意向を整理してから判断します。

土地や古い家では、価格だけでなく、道路・接道・境界・用途地域・市街化調整区域・農地・再建築の可否・建物状態などで買主候補や売り方が変わります。

古い家でも建物を利用したい買主がいる可能性があります。反対に解体前提で価格を考える買主もいます。先に解体して選択肢を減らす前に、仲介・買取の両面から価値を確認することが大切です。

不動産会社へ相談するときに確認したい5つのこと

不動産売却について相談するイメージ
査定価格だけでなく、想定する買主・販売方法・期間・手取りまで確認します。
1|査定価格の根拠どの成約事例・物件条件を根拠にしているか確認します。
2|想定する買主個人、建売業者、法人、投資家など、誰を想定しているか確認します。
3|販売方法レインズ、ポータル、自社顧客、他社への紹介など、どこへ情報を出すか確認します。

4|売れない場合の見直し

問い合わせ・内覧・競合物件・買主の反応を見て、いつ何を変えるか確認します。

5|最終的な手取り

仲介手数料、測量、境界、残置物、解体、登記、税金などを含めて確認します。

相談するときは「価格・時期・手取り」を伝える

仲介か買取か迷っている段階でも、最初からどちらかに決める必要はありません。希望価格、いつまでに売りたいか、内覧や一般公開をどこまで許容できるか、売却後にいくら残したいかを伝えると比較しやすくなります。

売却方法を決める前の相談内容を見る ›

よくある質問

Q.仲介と買取ではどちらが高く売れますか?

一般の買主を広く探せる仲介の方が高い価格で成約する可能性はありますが、必ず高く売れるとは限りません。売却期間や必要費用を含め、最終的な手取り額と売却期限の両方で比較します。

Q.専任媒介にすると他社から買主を紹介してもらえませんか?

いいえ。専任媒介・専属専任媒介ではレインズへの登録義務があり、他の不動産会社から購入希望者を紹介してもらうことができます。

Q.一般媒介ならレインズへ登録されませんか?

一般媒介には法律上のレインズ登録義務はありません。ただし、一般媒介でも登録することは可能です。

Q.仲介で売り始めて途中から買取へ切り替えられますか?

可能です。ただし、媒介契約の有効期間や解約条件、既に進んでいる交渉、買取条件を確認する必要があります。あらかじめ「いつまで仲介で販売するか」を決めておくと判断しやすくなります。

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参考情報

e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」

国土交通省「宅地建物取引業法関係・標準媒介契約約款」

国土交通省「消費者の皆様向け 不動産取引に関するお知らせ」