名古屋・栄の久屋大通では、すでに北エリア・テレビ塔エリアでPark-PFIを活用した「Hisaya-odori Park」が開業しています。一方、錦通から若宮大通までの南エリアでも再整備計画が動いています。

ただし、2026年9月23日時点で注意したいのは、南エリアについて「北側と同じPark-PFI方式で整備される」と確定したわけではないことです。名古屋市は民間事業者とのサウンディング調査を終え、官民の役割分担や事業化を検討している段階です。

栄周辺に土地、店舗、一棟ビル、収益物件などを所有している方にとって注目したいのは、「新しい公園ができる」という点だけではありません。

今後は、公園・地下街・商業施設・道路・公共交通がどのようにつながり、人の流れがどこへ変化するのかを見ることが重要です。

この記事で分かること

  • Park-PFIとはどのような制度なのか
  • 栄・久屋大通で実施されたPark-PFIの内容
  • 久屋大通南エリア再整備の2026年現在の状況
  • 栄周辺の土地・店舗・ビル所有者が確認したいポイント
  • 再開発を理由に不動産価格を単純判断できない理由

先に結論|栄のPark-PFIは「公園整備」だけでなく人の流れを見ることが重要

栄で既に実施されているPark-PFIは、久屋大通公園の北エリア・テレビ塔エリアを対象とした事業です。

2020年9月18日に「Hisaya-odori Park」が開業し、公園、芝生広場、水盤、店舗などが一体となった都市空間へ再整備されました。対象面積は約54,122㎡、店舗棟24棟、約35店舗と名古屋市が公表しています。

今後注目したいのが、その南側です。

名古屋市は錦通から若宮大通までの「南エリア」について2025年3月に再整備構想を策定し、2026年3月には民間事業者とのサウンディング調査結果を公表しました。

不動産所有者にとっては、

「再整備されるから土地価格が上がるか」

ではなく、

「歩行者動線・商業集積・地下と地上の接続・店舗需要・周辺建物の更新が、自分の物件にどう関係するか」

を確認することが重要です。

Park-PFIとは?民間店舗と公園整備を組み合わせる制度

Park-PFIとは、都市公園法に基づく「公募設置管理制度」です。

2017年の都市公園法改正によって創設されました。

民間事業者が飲食店や売店などの収益施設を設置・運営し、その収益を活用しながら、園路や広場など一般利用者が使う公園施設の整備・改修を一体的に行う仕組みです。

従来の公園では、

「公共施設として公園を整備する」

という考え方が中心でした。

Park-PFIではそこに、

  • カフェ
  • レストラン
  • 物販店舗
  • イベント
  • 滞在スペース
  • 民間による管理運営

などを組み合わせ、公園そのものを「人が滞在する場所」として活用しやすくします。

つまり、不動産の視点では単なる緑地整備ではなく、公共空間と商業施設、人の流れを一体で考えるまちづくりとして見る必要があります。

久屋大通公園では2020年にHisaya-odori Parkが開業

栄地区では「栄地区グランドビジョン」に基づき、久屋大通の再生が進められてきました。

北エリア・テレビ塔エリアでは、Park-PFIと指定管理者制度を組み合わせた整備が実施され、三井不動産株式会社を代表とするグループが事業者として選定されています。

Hisaya-odori Parkは南北約1kmにわたり、公園と商業施設を一体的に配置しています。

芝生広場、水盤、樹木、ベンチなどの公共空間だけでなく、飲食・物販店舗を公園内に配置したことが特徴です。

名古屋市のグランドビジョンでも、久屋大通公園について「沿道とより一体化する空間形成」「北から南まで一体的に活用できる空間形成」を図る方針が示されています。

ここが不動産を見るうえで大切なポイントです。

公園の中だけをきれいにするのではなく、公園から周辺店舗、ビル、地下街へ人が移動する仕組みまで含めて整えることが目標になっています。

次は久屋大通「南エリア」の再整備が進む

現在注目したいのは、錦通から若宮大通までの南エリアです。

名古屋市は2025年3月に「久屋大通(南エリア)再整備構想」を策定しました。

コンセプトは、

「新たな創造が生まれるウォーカブルタウンのコア~多様な人が集まる刺激と居心地~」

です。

再整備構想では南エリアを大きく4つのゾーンに分けています。

ゾーン主な方向性
A水と緑のある開放的な空間
B南エリアの起点となるメインゲート空間
C日常的ににぎわう一大イベント空間
D新たな交流が生まれる多目的空間

ゾーンCではエディオン久屋広場・エンゼル広場などを大規模イベントと日常利用の双方に対応する空間とする方向性が示されています。

ゾーンDでは南噴水広場・光の広場周辺を新しい交流空間として検討し、さらに南側では栄と大須をつなぐ人の流れも意識されています。

南エリアはまだPark-PFIと決まったわけではない

ここは誤解しないよう注意が必要です。

南エリアについて名古屋市は、再整備施設の設計・整備・管理・運営について、官民の適切な役割分担を検討したうえで民間事業者を公募することを想定しています。

2026年3月に公表されたサウンディング調査には19グループ・24社が参加し、複数の企業グループから参画意向が確認されました。

一方で、2026年9月23日時点では、北側と同じPark-PFI方式を採用することや、最終的な事業者、具体的な整備スケジュールまで確定した公式情報は確認できません。

今後の名古屋市からの公募条件や事業方式の発表を確認する必要があります。

南エリアで特に注目したいのは「人の流れ」

不動産所有者が南エリア再整備を見るとき、施設名称よりも確認したいのが動線です。

サウンディング調査では、民間事業者から、

  • 北エリアと南エリアの人の流れをつなぐ
  • 地下から地上へ人を誘導する
  • 公園と大型商業施設の連続性を高める
  • 東西方向の分断を改善する
  • 栄から大須方向への回遊性を高める

といった意見が示されています。

店舗や商業ビルの場合、同じ「栄駅徒歩圏」でも、人が実際に通る場所と通らない場所では条件が違います。

例えば、

「地下街から地上へ出る場所」

「信号を渡らず移動できる場所」

「イベント広場から駅へ戻る経路」

「栄から矢場町・大須へ向かう経路」

などによって、路面店舗の視認性や通行量は変わる可能性があります。

そのため再整備を確認するときは、「公園に何ができるか」だけでなく、自分の物件の前を誰がどの方向へ歩くのかまで見ることが大切です。

栄ではPark-PFI以外の都市機能も同時に変わっている

久屋大通だけを単独で見るのも十分ではありません。

栄中心部では2026年6月11日に「ザ・ランドマーク名古屋栄」で商業施設「HAERA」とTOHOシネマズ名古屋栄が開業し、7月31日にはコンラッド名古屋が開業しています。

交通面では、SRT(Smart Roadway Transit)の名古屋駅-栄ルートが2026年2月13日に運行を開始しました。さらに9月11日には名古屋駅-名古屋城ルートも運行を開始しています。

つまり現在の栄では、

公園再整備+大型複合施設+地下街+公共交通+既存百貨店・商業施設

という複数の変化が同時に進んでいます。

一つの開発だけで不動産価値を判断するのではなく、これらによって人の流れがどのように変化するかを継続して確認する必要があります。

栄周辺の土地・店舗・ビル所有者が確認したい5つのポイント

1.駅距離より「実際の歩行者動線」

商業地では「栄駅徒歩○分」だけでは十分ではありません。

地下出口、横断歩道、地下街との接続、商業施設入口、イベント広場などとの位置関係によって実際の人の流れは変わります。

2.1階路面か上階か

Park-PFIや公園再整備による回遊性の変化は、特に路面店舗に関係しやすい要素です。

一方、上階の店舗やオフィスでは、エレベーター位置、看板、建物入口、用途など別の要素が重要になります。

3.建物の築年数と今後の修繕費

周辺で再開発が進んでいても、所有する建物が老朽化していれば、

  • 修繕を続ける
  • リニューアルする
  • 建て替える
  • 売却する
  • 現在の状態で賃貸を続ける

といった選択肢を比較する必要があります。

周辺環境の変化だけで建て替えを決めるのではなく、建物収支と今後必要になる費用を確認することが先です。

4.用途地域・容積率・道路条件

土地の将来利用を考える場合は、周辺の新しい建物だけを見ても判断できません。

自分の土地について、

  • 用途地域
  • 建ぺい率
  • 容積率
  • 前面道路
  • 接道
  • 敷地面積
  • 間口
  • 土地形状

などを確認する必要があります。

周囲に大型ビルが建っているからといって、自分の土地でも同じ規模の建物を建築できるとは限りません。

5.現在の賃貸借契約

店舗や一棟ビルを所有している場合は、再開発より先に現在の契約内容を整理しておきたいところです。

賃料、契約期間、更新条件、修繕負担、退去条件、空室状況などによって、保有・売却・建替えの判断は変わります。

「Park-PFI=周辺の土地価格上昇」とは限らない

栄のPark-PFIや南エリア再整備について、「周辺の地価は上がるのか」と気になる方もいるでしょう。

しかし、Park-PFIだけを理由に今後の不動産価格上昇を断定することはできません。

不動産価格や賃料は、

  • 駅からの距離
  • 人の流れ
  • 用途地域
  • 容積率
  • 土地面積・形状
  • 建物状態
  • 店舗・オフィス需要
  • 空室状況
  • 賃料水準
  • 金利
  • 周辺の再開発
  • 将来の建替え可能性

など複数の要素で決まるからです。

Park-PFIや再整備は「地域を見る材料」の一つです。

所有不動産について判断するときは、地域の変化と物件固有の条件を分けて考える必要があります。

今すぐ売らなくても「再開発後にどう使える物件か」は確認できる

再開発のニュースを見ると、

「今売るべきか」

「完成してから売った方がよいのか」

とタイミングを考えたくなるかもしれません。

しかし、最初に売却時期を決める必要はありません。

まずは、

現在の賃料収入
↓
今後必要になる修繕費
↓
建替えた場合の利用可能性
↓
現在売却した場合の価格
↓
今後保有する場合のメリット・負担

という順番で整理すると判断しやすくなります。

特に栄・久屋大通・矢場町周辺では、土地だけではなく店舗、一棟ビル、収益物件など物件種別によって買主の見方が大きく変わります。

ヒロセット不動産への相談について

まだ売却すると決めていない段階でも、不動産の条件を整理することはできます。

「栄周辺の再開発が自分の物件に関係するのか知りたい」

「古いビルをこのまま持つか売るか迷っている」

「現在のテナントを残したまま売却できるか確認したい」

「建て替える場合と売却する場合を比較したい」

という段階でも構いません。

ヒロセット不動産では、土地や建物の条件、賃貸状況、周辺の利用状況などを確認しながら、売却だけでなく保有・活用も含めて選択肢を整理します。

まとめ|栄のPark-PFIは「公園」ではなく街全体の動きを見る

栄のPark-PFIでは、すでに北エリア・テレビ塔エリアのHisaya-odori Parkが開業しています。

次に注目される南エリアでは、2025年3月に再整備構想が策定され、2026年3月までに民間事業者とのサウンディング調査が行われました。

ただし、南エリアの最終的な事業方式や事業者、詳細な整備スケジュールは、2026年9月23日時点では今後確認が必要です。

栄周辺に土地・店舗・ビルを所有している場合は、

「再開発があるから売る・持つ」ではなく、人の流れ、土地条件、建物収支、賃貸状況を整理してから判断すること

が大切です。

周辺環境が変わり始めた段階で、自分の不動産の条件だけ先に整理しておけば、今後新しい計画が発表された際にも判断しやすくなります。

よくある質問

Q.Park-PFIとは何ですか?

Park-PFIは、都市公園法に基づく「公募設置管理制度」です。民間事業者がカフェや店舗などの収益施設と、園路・広場などの公園施設を一体的に整備・管理する仕組みです。

Q.Hisaya-odori ParkはPark-PFIで整備されたのですか?

はい。久屋大通公園の北エリア・テレビ塔エリアではPark-PFIと指定管理者制度を組み合わせた事業が実施され、2020年9月18日にHisaya-odori Parkが開業しました。

Q.久屋大通南エリアもPark-PFIになるのですか?

2026年9月23日時点では確定した公式情報を確認できません。名古屋市は官民連携による事業化を検討していますが、具体的な事業方式や事業者については今後の発表確認が必要です。

Q.Park-PFIで栄周辺の不動産価格は上がりますか?

Park-PFIだけを理由に不動産価格が上昇すると断定することはできません。駅距離、人の流れ、道路、土地形状、容積率、建物状態、賃料、需要など複数の条件を確認する必要があります。

Q.売却予定がなくても栄の土地やビルについて相談できますか?

はい。売却を決める前に、用途地域、容積率、道路、建物状態、賃貸収入、修繕費などを整理しておくことで、保有・建替え・活用・売却を比較しやすくなります。

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参考情報

名古屋市「久屋大通公園(北エリア・テレビ塔エリア)整備運営事業」

名古屋市「久屋大通(南エリア)再整備構想」

名古屋市「久屋大通(南エリア)再整備等事業に関する公募型サウンディング調査」

国土交通省「公園とみどり・Park-PFI等の活用」