名古屋市港区の旧名古屋競馬場跡地で、大規模なまちづくり計画が進んでいます。
競馬場として使われてきた広大な土地に、複合商業施設、住宅、福祉施設、私立高校などの教育施設、スポーツ施設、中央公園などを整備する計画です。
愛知県議会での説明では、事業者への土地引き渡しは2027年5月、各施設の建築工事を順次開始し、2029年秋ごろの「まちびらき」が予定されています。名古屋市の公表資料では「2029年度以降、完成した施設から順次供用開始」とされています。
※この記事は2026年9月24日時点で確認できる愛知県・名古屋市・事業者の公表資料をもとに整理しています。
名古屋競馬場跡地はどこにある?
開発地は名古屋市港区泰明町一丁目・三丁目。
あおなみ線「港北駅」のすぐ西側に位置し、東側には名古屋出入国在留管理局、南側には新場外馬券売場があります。
旧名古屋競馬場は2022年に弥富市へ移転。跡地では道路、公園、雨水貯留施設などを含めた都市基盤整備が進められています。
今回、民間事業者に売却される土地だけでも147,114.50㎡、約14.7haあります。売却総額は約124億6,874万円です。
何ができる?8つの区域に分けて整備
2025年2月に変更された基本計画を見ると、跡地はA~Hの8区域に分けて整備する計画です。
| 区域 | 主な計画 | 面積 |
|---|---|---|
| A | 複合商業施設等 | 41,758㎡ |
| B | 複合商業施設等 | 30,296㎡ |
| C | 分譲マンション | 5,588㎡ |
| D | 複合福祉施設 | 8,753㎡ |
| E | 戸建住宅 | 5,710㎡ |
| F | 賃貸住宅 | 2,707㎡ |
| G | 私立高校等 | 50,434㎡ |
| H | スポーツ施設 | 1,865㎡ |
さらに区域の中央には中央公園が配置され、歩行者・自転車動線なども整備される計画です。施設配置については今後の基本設計・実施設計で詳細が決まります。
大きな商業施設が2街区に整備される
今回の計画で特に注目されるのがA・B区域です。
基本計画では「賑わいゾーン」とされ、生活を豊かにする複合商業施設を整備するとしています。
地域のニーズに対応する食品スーパーなどの誘致のほか、地元専門店や地元企業が出店できる機会、多彩なイベント、子育て支援機能なども検討されています。
A・B区域を合わせると約7.2haあります。
事業用地の大部分を取得したエスコンは、約14.7haの事業用地のうち約13haを取得し、複合商業施設や分譲マンション等を開発する予定と公表しています。エスコンジャパン
現時点では、具体的な店舗名や商業施設名称について、公式資料で確定したものは確認できません。
そのため「○○スーパーが出店する」「○○モールになる」といった情報については、正式発表を待つ必要があります。
分譲マンション・戸建・賃貸住宅も計画
跡地は商業施設だけの開発ではありません。
C~F区域は「住まいゾーン」と位置付けられており、
- 分譲マンション
- 戸建住宅
- 賃貸住宅
- 複合型福祉施設
が計画されています。
住宅にはホームIoTなどの技術を取り入れる構想があり、福祉施設についても健康増進や介護予防などを担う拠点を目指しています。名古屋市公式サイト
単に大型ショッピングセンターを建設するのではなく、実際に人が暮らす新しい住宅街を一体的につくることが、この開発の特徴といえそうです。
私立高校・大学・図書館など「学び」の機能も
南西側のG区域は約5万㎡あり、基本計画では「学びゾーン」とされています。
計画には、
私立高校、大学、図書館、民間研究施設、イノベーションセンター、スポーツ施設
などが盛り込まれています。
IT・DX人材の育成や起業支援、学生と地域住民が交流できる環境なども想定されています。
ただし、2026年9月時点で、各施設の最終的な運営主体や施設名称まで全て確定・公表されているわけではありません。
基本計画と、今後発表される具体的な建築計画を分けて見る必要があります。
中央公園やジョギングコースも整備
街の中央には公園が設けられます。
基本計画では「憩いゾーン」として、
中央公園やジョギングコース
などを整備し、住民だけでなく周辺地域から訪れる人も利用できる交流空間をつくる方針です。
住宅、商業、学校、公園を歩いて移動できるような街区構成になっており、旧競馬場の広い敷地を一体利用できることが大きな特徴です。
もともとはアジア大会の選手村になる予定だった
この場所は当初、2026年に愛知・名古屋で開催されるアジア・アジアパラ競技大会の選手村として整備し、大会終了後に住宅や商業施設へ転用する構想でした。
しかし名古屋競馬場跡地での選手村整備は取りやめとなりました。
これを受けて2025年2月、後利用事業の基本計画が変更され、現在は選手村を経由せず、直接まちづくりを進める計画になっています。
2027年から建築工事、2029年秋のまちびらきへ
現在公表されているスケジュールを整理すると、
2025年10月
土地売買契約を締結
2026年2月
県・市の議決を経て本契約
2027年5月予定
事業者へ土地を引き渡し
2027年5月以降
各施設の建築工事に順次着手
2029年秋ごろ予定
まちびらき
となります。
なお、全施設が2029年秋に一斉開業するという意味ではありません。
名古屋市の工程計画では、完成した施設から順次供用開始とされています。
ここは今後の情報を見る際に注意したいポイントです。
港北駅周辺はかなり景色が変わりそう
今回の計画は、一つの店舗やマンションが建つ規模ではありません。
商業施設、住宅、福祉、教育、スポーツ、公園がまとめて整備されるため、港北駅周辺の人の流れ自体が変わる可能性があります。
特に、
港北駅の利用者数、東海通周辺の交通量、日常の買い物環境、住宅需要、周辺店舗の出店動向
などは今後注目したいところです。
名古屋市もこの跡地だけでなく、名古屋競馬場跡地を核とした「港北エリアのまちづくり」として周辺地域まで含めた整備を進めています。
周辺不動産への影響は?
大規模開発が行われると「周辺の土地価格も上がるのでは」と考えたくなります。
ただ、現時点でこの開発だけを理由に周辺地価が上昇すると断定することはできません。
不動産価格は、
駅からの距離、道路幅員、土地形状、用途地域、浸水などのハザード、建築条件、周辺の住宅需要
といった個別条件にも大きく左右されます。
一方で、約14.7haという大規模な土地で新しい商業・住宅・教育機能が整備されるため、港北駅周辺の生活利便性や街の認知度を考えるうえでは、今後数年間の重要な変化の一つです。
名古屋市の土地・住宅・収益不動産については、地域の開発情報だけではなく、物件そのものの条件を合わせて見ることが重要です。
名古屋市の不動産売却については、こちらでも整理しています。
名古屋市の不動産売却相談|土地・戸建・空き家・相続・収益物件の整理窓口
今後注目したいのは「具体的な施設名」
2026年9月時点では、街全体のゾーニングと主要用途はかなり具体的になっています。
一方で、これから最も注目されるのは、
複合商業施設の正式名称とテナント、分譲マンションの規模、私立高校等の具体的な施設計画、各施設の着工・開業時期
でしょう。
2027年5月の土地引き渡し以降は、実施設計や建築計画、テナント募集など、今より具体的な情報が出てくる可能性があります。
名古屋競馬場だった場所が、商業・住宅・教育・福祉・公園が集まる一つの街へ。
2029年秋のまちびらきに向け、名古屋港区ではかなり大きな街の変化が始まろうとしています。
参考情報
名古屋市「第20回アジア競技大会選手村後利用事業に係る基本計画の変更について」名古屋市公式サイト
愛知県「名古屋競馬場跡地の売却について」愛知県公式サイト
愛知県議会「教育・スポーツ委員会審査状況」愛知県公式サイト
株式会社エスコン「第20回アジア競技大会選手村後利用事業 土地売買契約締結のお知らせ」エスコンジャパン



