愛知県は2026年8月4日、「産業競争力強化減税基金」に基づく2026年度第1回の立地補助対象案件22件を公表しました。

西三河では、西尾市の「あいやホールディングス・あいや」と「矢作産業」、幸田町の「近藤製作所」、豊田市の「トヨタ自動車」「中央発條」「友新精機」、みよし市の「藤和ライト工業」の計7件が対象です。

ただし、「補助対象になった=新しい土地を取得して新工場を建設する」という意味ではありません。既存工場への再投資や設備投資も含まれるため、不動産や周辺土地への影響を見るときは、補助制度の種類と個別計画を分けて考える必要があります。

この記事で分かること

  • 愛知県が公表した2026年度第1回の立地補助22案件
  • 西尾市・幸田町・豊田市・みよし市の7案件
  • あいや、矢作産業、近藤製作所などの補助対象事業
  • Aタイプ・Bタイプなど補助制度の違い
  • 「補助対象=新工場」とは限らない理由
  • 周辺に土地を所有している場合に確認したいポイント

先に結論|22案件のうち西三河は7件、西尾市では2件

2026年度第1回は、5月までに申請のあった22件すべてが補助対象案件として決定されました。

内訳は、21世紀高度先端産業立地補助金が2件、新あいち創造産業立地補助金Aタイプが16件、Bタイプが3件、Cタイプが1件です。

地域別では、名古屋地域3件、尾張地域10件、西三河地域7件、東三河地域2件となっています。企業規模別では大企業2件、中堅企業2件、中小企業18件です。

西三河の7案件を整理すると次のようになります。

市町企業主な事業内容区分
豊田市トヨタ自動車バイオテクノロジーを軸としたWell-being空間研究など21世紀高度先端
西尾市あいやホールディングス・あいや抹茶製品の製造Aタイプ
幸田町近藤製作所ロボット用ハンド&チャック・周辺機器製品の製造Aタイプ
豊田市中央発條自動車用シャシばねの製造Aタイプ
みよし市藤和ライト工業自動車用プラスチックレンズ部品の製造Aタイプ
豊田市友新精機ディスクローター、フライホイール等の自動車部品製造Aタイプ
西尾市矢作産業BEV向けインレットハウジング等の製造Bタイプ

西尾市だけで「あいや」と「矢作産業」の2案件が含まれている点は、地域の産業動向を見るうえで注目したいところです

愛知県の2026年度第1回・立地補助22案件一覧

愛知県が公表した全22案件は次のとおりです。

No.企業内容分野立地先
1トヨタ自動車Well-being空間研究など分野横断型研究バイオテクノロジー豊田市
2菱輝金型工業航空宇宙向け治工具・航空機部品航空宇宙稲沢市
3アイデンラジエターグリル・バックドアガーニッシュ等自動車稲沢市
4アイホンインターホン・ナースコールの研究開発電気・電子機器名古屋市
5あいやホールディングス・あいや抹茶製品食料・飲料品西尾市
6旭サナック液体塗装システム等の研究開発機械・金属尾張旭市
7伊藤光学工業眼鏡レンズ健康長寿蒲郡市
8大羽精研電子部品実装ロボット向け基幹部品機械・金属豊橋市
9香流工業自動車部品・センサー部品自動車瀬戸市
10近藤製作所ロボット用ハンド&チャック・周辺機器ロボット幸田町
11高砂ホールディングスほか3社ソレノイドバルブ、ポンプ等機械・金属名古屋市
12中央発條自動車用シャシばね自動車豊田市
13東洋ベースプレキャスト基礎コンクリート住宅・建築物一宮市
14藤和ライト工業自動車用プラスチックレンズ部品自動車みよし市
15福井鉄工コンベア用ローラ・プーリ機械・金属豊明市
16ベステックEV等のモーター組立機械ライン機械・金属春日井市
17名北ゴム自動車用緩衝材自動車一宮市
18友新精機ディスクローター・フライホイール等自動車豊田市
19三光製作所H3ロケットエンジン部品航空宇宙あま市
20東海理化電機製作所自動運転・モビリティ・ドローン関連研究自動車・ロボット大口町
21矢作産業BEV向けインレットハウジング等自動車西尾市
22Industry Alpha工場・倉庫向けスマート化・ロボティクスソフトソフトウェア名古屋市

県資料で公表されているのは、企業名、事業概要、関連分野、立地先の市町村などです。案件によっては、具体的な所在地、投資額、建築規模、操業開始時期までは公表されていません。

西尾市では「あいや」と「矢作産業」の2案件

あいやは抹茶製品の製造

あいやホールディングス・あいやは「抹茶製品の製造」でAタイプの補助対象になっています。

あいやは西尾市内に上町の本社工場、第一米津工場、第二米津工場などを持つ抹茶メーカーです。2024年には米津町にBCPを目的とした製品倉庫も新設しています。

ただし、今回の愛知県資料では「西尾市」とされているだけで、今回の補助対象投資がどの工場で行われるのか、建物新設を伴うのかまでは確認できません。

そのため、「あいやの新工場が新たな場所に建設される」と現時点で断定するのは適切ではありません。

矢作産業はBEV向け部品

矢作産業は「BEVに搭載されるインレットハウジング等の製造」でBタイプの補助対象となりました。

ここでいう矢作産業は、幸田町に本社を置くプラスチック成形メーカーです。同社は西尾市下羽角町に西尾工場を持ち、公式沿革では2019年に西尾新工場が完成したとしています。

今回の県資料では立地先が「西尾市」とされていますが、具体的な投資場所や投資額までは記載されていません。

幸田町では近藤製作所がロボット関連で対象

幸田町では近藤製作所がAタイプの補助対象となりました。

事業内容は「ロボット用ハンド&チャック・周辺機器製品の製造」です。

近藤製作所は幸田町深溝に「幸田工場」を持ち、同工場をハンド&チャック、ロボット周辺機器の拠点として案内しています。

こちらも、県の一覧だけから今回の設備投資場所を幸田工場と断定することはできません。

一方、幸田町でロボット関連製品への企業投資が補助対象になっているという事実自体は、地域の製造業動向を見る材料になります。

豊田市ではトヨタ自動車・中央発條・友新精機の3件

豊田市では3件が補助対象となっています。

トヨタ自動車は、バイオテクノロジーを軸とするWell-being空間研究などの「分野横断型研究」で21世紀高度先端産業立地補助金の対象です。

中央発條は自動車用シャシばね、友新精機はディスクローターやフライホイールなど自動車部品の製造でAタイプに選ばれています。

中央発條については、これとは別に同社が豊田市深見町の藤岡工場敷地内で「第12工場」を計画していることを公式発表しています。

公表時点の計画では、延床面積約4,167㎡、総投資額約40億円で、シャシばねの新ラインを設ける計画です。

ただし、愛知県の補助対象一覧そのものは「今回の補助対象事業=第12工場」と明記していないため、両者を同一案件と断定せずに見る必要があります。

AタイプとBタイプでは意味が違う

今回の西三河7件を見ると、Aタイプが5件、Bタイプが1件、21世紀高度先端産業立地補助金が1件です。

特に土地所有者が知っておきたいのが、Aタイプの性格です。

Aタイプは「工場等が立地する市町村と連携した県内再投資の支援」で、原則として20年以上県内、かつ新増設等を行う同一市町村内で立地する工場等を対象としています。

中堅・中小企業では1億円以上の投資規模などが要件となり、支援期間中の雇用維持も求められます

一方、Bタイプは、産業競争力強化につながる製品・部素材の製造や研究への投資を支援する制度です。中堅・中小企業については2,000万円以上の投資などが要件となっています。

この違いを見ると、今回の「立地補助22案件」をすべて「企業が新たな土地を買って新工場を建設する案件」と見るべきではないことが分かります。

「補助対象決定」と「補助金交付」も同じではない

今回の22件は、現時点では「補助対象案件として決定」されたものです。

愛知県は、今後、工場等が完成して操業を開始した後、所定の手続きを経て順次補助金を交付すると説明しています

つまり、

「補助対象になった」
「工事が始まった」
「工場が完成した」
「操業を開始した」
「補助金が交付された」

は、それぞれ別の段階です。

地域の開発情報を追う場合は、この違いを意識しておく必要があります。

周辺の土地価格や事業用地需要がすぐ上がるとは限らない

企業の設備投資や工場投資は、地域経済を見るうえで重要な情報です。

しかし、不動産の視点では「近くの企業が補助対象になったから周辺土地の価格が上がる」と単純には判断できません。

今回のようなAタイプには、既存の工場や事業拠点への再投資も含まれます。

たとえば既存工場内で設備を入れ替えるだけなら、新たな事業用地需要が発生しない可能性があります。

一方で、新棟建設、生産能力増強、物流量増加、従業員増加などを伴う場合には、将来的に関連する事業用地、倉庫、駐車場などの需要を見る材料になる場合があります。

重要なのは、補助金の採択情報だけではなく、その後に公表される建築計画、開発許可、CASBEE、企業のニュースリリースなども合わせて確認することです。

西尾・幸田・豊田周辺で事業用地を見るなら土地条件の確認が先

周辺に土地を持っている場合も、「企業立地があるから事業用地として使える」とは限りません。

特に確認したいのは、次のような条件です。

  • 市街化区域か市街化調整区域か
  • 用途地域
  • 農地に該当するか
  • 前面道路の幅員と大型車の進入性
  • 土地の間口・奥行き・形状
  • 高低差
  • 上下水道や工業用水などのインフラ
  • 雨水・排水
  • 周辺住宅との距離
  • 建築できる用途
  • 開発許可や農地転用が必要か

工場・倉庫・事業所の買主は、住宅用地とは異なる条件で土地を見ます。

面積が広いだけでは十分ではなく、大型車が出入りできるか、造成しやすいか、排水処理が可能か、操業用途が法令上認められるかといった条件が重要になります。

土地を所有しているなら「周辺企業の動き」と「自分の土地」を分けて確認する

西尾市・幸田町・豊田市・みよし市で複数の企業投資が確認されたことは、地域の産業動向を把握するうえで参考になります。

ただし、不動産所有者にとってより重要なのは、自分の土地が実際にどのような買主や用途を想定できる土地なのかを確認することです。

「近くで工場投資が増えている」
「幹線道路沿いに土地を持っている」
「相続した広い土地を使っていない」

という場合でも、売却を先に決める必要はありません。

住宅用地として考えるのか、事業用地として可能性があるのか、貸地にするのか、そのまま保有するのかを土地条件から整理しておくと判断しやすくなります。

ヒロセット不動産への相談について

ヒロセット不動産では、西尾市・幸田町・豊田市をはじめ西三河の土地について、「売却する」と決める前の段階からご相談いただけます。

事業用地として可能性があるか知りたい場合も、周辺企業の動向だけで判断せず、道路、都市計画、農地、土地形状、面積などを確認しながら整理することが大切です。

「企業立地が進んでいる地域に土地がある」
「住宅用地と事業用地のどちらで考えるべきか分からない」
「相続した広い土地を今後どうするか決まっていない」

という段階でも構いません。

売却・保有・貸地・土地活用などを比較するための現状の整理から検討できます。

まとめ|西三河7件を確認。ただし「新工場22件」ではない

愛知県の2026年度第1回立地補助では22件が補助対象案件となり、西三河は7件でした。

西尾市ではあいやと矢作産業、幸田町では近藤製作所、豊田市ではトヨタ自動車・中央発條・友新精機などが含まれています。

一方で、今回の情報を「22の新工場建設計画」と理解するのは正確ではありません。

既存拠点への再投資や設備投資も含まれており、具体的な土地取得や建物計画については案件ごとに確認が必要です。

地域の不動産を見る場合も、企業名だけで判断せず、「どこで、どのような投資が行われるのか」と「自分の土地がどのような用途に利用できるか」を分けて確認することが重要です。

よくある質問

Q.愛知県の2026年度第1回立地補助は何件ですか?

22件です。2026年5月までに申請された22件について審査が行われ、22件すべてが補助対象案件として決定されました。西三河地域はこのうち7件です。

Q.西尾市ではどの企業が対象になりましたか?

あいやホールディングス・あいやと矢作産業の2案件です。あいやは抹茶製品、矢作産業はBEV向けインレットハウジング等の製造が対象事業として記載されています。

Q.幸田町ではどの企業が対象ですか?

近藤製作所です。ロボット用ハンド&チャック・周辺機器製品の製造がAタイプの補助対象案件となっています。

Q.補助対象になった企業はすべて新工場を建設するのですか?

いいえ。既存拠点への設備投資や県内再投資も補助対象となる制度です。企業ごとの建築計画や土地取得については、別途公表資料を確認する必要があります。

Q.企業の設備投資が増えると周辺の土地価格も上がりますか?

一概には言えません。新たな土地取得を伴うのか、既存工場内の設備更新なのかで影響は異なります。地価や事業用地需要は道路、用途地域、供給量、実際の取引など複数の要素から確認する必要があります。

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参考情報

愛知県「産業競争力強化減税基金に基づく立地補助金の2026年度第1回補助対象案件」
愛知県の2026年度第1回立地補助金発表

愛知県「補助対象案件一覧」
2026年度第1回 補助対象案件一覧PDF

愛知県「立地補助制度概要」
愛知県の立地補助制度概要PDF

※掲載内容は2026年9月27日時点で確認した公開情報をもとにしています。個別案件の着工・完成・操業時期等は今後変更・追加公表される可能性があります。