※本記事は2026年9月13日時点で確認できる公表情報をもとに作成しています。

安城市南部の榎前町・和泉町では、国道23号(名豊道路)や和泉IC周辺を中心に、工場や物流施設の新設・移転が確認されています。

実際に2024年には、榎前地区工業団地へのアイシン安城工場の移転、和泉町での物流倉庫や定温倉庫の開設などが続きました。一方で、「この周辺に新しい大規模工業団地がさらにできる」と決まっているわけではありません。

土地所有者にとって大切なのは、開発情報だけで土地の将来を判断せず、用途地域・市街化調整区域・道路幅員・農地・土地面積など、自分の土地が事業用地として検討できる条件を備えているかを確認することです。

この記事では、現在確認できる工場・物流施設、安城市の企業立地計画、そして榎前・和泉周辺の土地を考えるときのポイントを整理します。

この記事で分かること

  • 榎前町・和泉町で確認できる工場・物流施設の新設・移転状況
  • 国道23号・和泉IC周辺の企業立地の背景
  • 安城市が公表している企業立地方針と新産業ゾーンとの違い
  • 公表済みの計画と、まだ確認できない将来計画の区別

先に結論|工場・物流施設の立地は進んでいるが、今後の計画は分けて考える必要がある

榎前・和泉周辺では、2024年に複数の工場・倉庫の竣工・稼働が確認できます。特に榎前地区工業団地は、安城市が和泉ICや県道45号安城碧南線への交通利便性を生かした工業団地として位置付けている地区です。

また、安城市が2022年度に実施した企業立地ニーズ調査では、市内の立地候補として「国道23号周辺」を挙げた企業が86社ありました。ただし、これは企業への需要調査であり、86件の工場建設が決定しているという意味ではありません。

一方、2024年度から2031年度を対象とする「安城市企業立地推進計画」で新たな産業ゾーンとして示されているのは明祥地区と北部地区です。和泉IC周辺については、すでに土地利用がかなり進んでいる地区として整理されています。

したがって、榎前・和泉については「新しい工業団地が決定した」と考えるのではなく、既存の産業集積と交通条件を背景に、個別の工場・物流施設や民間開発の動きを確認していくエリアと見る方が実態に近いでしょう。

榎前・和泉エリアで確認できる主な工場・物流施設

2024年を中心に、次の新設・移転が公表されています。

施設・事業所在地確認できる内容
クーパックス 中部第一倉庫安城市和泉町庄司作2024年3月1日から業務開始
アイシン 安城工場安城市榎前町西林2024年5月30日竣工
(仮称)愛知県安城市物流倉庫安城市和泉町大海古2024年9月竣工予定としてCASBEE届出。同住所で現在、大興運輸和泉物流センターの稼働を確認
木造エシカル定温倉庫安城市和泉町大北2024年11月竣工、12月から入庫開始

アイシン安城工場が榎前地区工業団地へ移転

アイシンは2024年5月30日、榎前町西林1番地1に新しい安城工場を竣工しました。

同社は移転理由として、旧工場の老朽化への対応に加え、「交通・物流の面で利便性の高い榎前地区工業団地」への移転による生産性や職場環境の向上を挙げています。新工場ではGHPやエネファームなどのエネルギー関連機器を製造しています。

榎前工業団地西地区は約13.8ha。安城市の地区計画でも、和泉ICや安城碧南線に隣接する交通条件を生かした産業空間の形成が目的として明記されています。

和泉町大海古では延床約1.3万㎡の物流倉庫計画

愛知県のCASBEE届出では、和泉町大海古7番6に「(仮称)愛知県安城市物流倉庫」が計画され、敷地面積6,386㎡、延床面積約13,163㎡、地上4階の施設として2024年9月竣工予定とされていました。

2026年のハローワーク求人では、同じ住所を就業場所とする「大興運輸株式会社 和泉物流センター」が確認できます。公開資料だけでは建物の所有・賃貸関係までは確認できないため、両者の関係については断定しません。

和泉町では中部第一倉庫も2024年に開設

株式会社クーパックスは、事業拡張に伴って和泉町庄司作4番地17に「中部第一倉庫」を新設し、2024年3月1日から業務を開始したと公表しています。

米の保管を目的とした定温倉庫も完成

和泉町大北では、鳥居工務店による木造の定温倉庫が2024年11月に完成し、同年12月から入庫を開始しています。公表資料では収容面積約1,000㎡とされています。

自動車関連だけでなく、物流や農産物保管など異なる用途の施設が立地している点も、この周辺を見るうえで参考になります。

なぜ国道23号・和泉IC周辺は企業から注目されるのか

最大の理由は、土地価格そのものではなく、広域道路へ接続しやすいことです。

国道23号知立バイパスは名豊道路の一部で、安城市城ヶ入町から豊明市までを結び、物流の円滑化や土地利用の効率化を目的として整備されています。

安城市が2022年度に行った企業立地ニーズ調査でも、市内で工場・生産施設・研究開発施設を立地すると仮定した場合、国道23号周辺を候補とした企業は86社、約43%でした。

企業側から見ると、インターチェンジまでの距離だけでなく、

  • 大型車が無理なく進入・退出できるか
  • 前面道路に十分な幅員があるか
  • 敷地内にトラックの待機・転回スペースを確保できるか
  • 敷地をまとまった形で確保できるか
  • 工場や倉庫として使える都市計画上の条件か

といった条件が重要になります。

つまり、「国道23号から近い」という一つの条件だけでは事業用地の価値は判断できません。

今後の開発計画はどうなっている?

和泉IC周辺は「これから一から開発する地区」ではない

安城市企業立地推進計画では、和泉IC周辺について、県道45号北側の榎前地区工業団地東工区・西工区はすでに造成済みとされています。

また、県道45号南側では沿道以外に住宅地が多く、産業ゾーンの大半で土地利用が進んでいると整理されています。産業ゾーン内に残る農地は約6ha、全体の約31%です。国道23号と県道45号以外でも、おおむね6~9m以上の道路幅員が確保されているとしています。

安城市全体では企業立地をさらに進める方針

安城市は2024年度から2031年度までの企業立地推進計画で、国道23号などの幹線道路を生かした企業立地や、民間事業者による開発誘導を進める方針を示しています。

ただし、新たに設定された「新産業ゾーン」は明祥地区と北部地区です。

既存産業ゾーンの重点地区として具体的に挙げられている国道23号沿線も、藤井IC、高棚福釜IC、高棚北IC周辺であり、和泉IC周辺はこの重点地区には列挙されていません。

したがって、2026年9月13日時点で確認した安城市の公表資料からは、榎前・和泉に新しい大規模工業団地を造成する具体的な計画は確認できません。

今後、民間開発や企業の個別移転・増設が出てくる可能性はありますが、公表されていない計画を前提に土地価格や将来価値を判断するのは避けた方がよいでしょう。

榎前・和泉で土地利用を考える場合は個別条件を確認

榎前町・和泉町では、既存の工業団地や企業立地が確認できる一方、周辺の土地が一律に工場・物流用地として利用できるわけではありません。市街化調整区域、産業系拡大市街地圏域、農地、前面道路などは地番ごとに確認が必要です。

所有地の利用可否や売却・貸地・保有の比較といった実務判断は、西尾東IC周辺の土地は工場・物流用地に使える?に整理しています。国道23号名豊道路の全線開通や広域交通の影響は、国道23号名豊道路・西尾東IC周辺は何が変わった?をご覧ください。

本記事では、榎前町・和泉町で公表資料から確認できる施設・企業立地・行政計画の事実関係に重点を置きます。

まとめ|榎前・和泉の工場・物流施設と企業立地の動きを確認

安城市榎前・和泉周辺では、2024年にアイシン安城工場や複数の物流・倉庫施設の新設が確認され、国道23号・和泉ICの交通条件を背景とした企業立地が進んでいます。

一方、安城市の現在の企業立地推進計画では、榎前・和泉に新たな大規模工業団地を造成する具体計画は確認できません。

土地所有者にとって重要なのは、「近くで工場ができた」という情報だけで判断することではありません。

市街化区域・市街化調整区域、産業系拡大市街地圏域、道路幅員、農地、面積、形状、インフラなどを確認すると、売却・保有・活用を比較しやすくなります。

まだ土地を売る予定がなくても、一度条件を整理しておけば、今後新たな開発情報が出たときにも判断しやすくなります。

よくある質問

Q.榎前・和泉で新しい大規模工業団地が計画されていますか?

2026年9月13日時点で確認した安城市の企業立地推進計画では、榎前・和泉を新たな大規模産業ゾーンとして造成する具体計画は確認できません。新産業ゾーンとして示されているのは明祥地区と北部地区です。

Q.周辺の所有地を工場・物流用地に使えるかはどこで確認できますか?

国道23号や工業団地に近いだけでは判断できません。市街化調整区域、農地、道路、開発許可などの確認方法は工場・物流用地の実務ページに分けています。

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参考情報

安城市「安城市企業立地推進計画」

安城市「榎前工業団地西地区計画」

株式会社アイシン「安城工場を移転開設し、竣工式を実施」

愛知県「CASBEEあいち2023年度届出一覧」

安城市「都市計画法第34条第12号に基づく条例による開発行為等の許可制度」

国土交通省 中部地方整備局「国道23号知立バイパス」