高浜市論地町の工場跡地で土壌・地下水汚染が公表され、「近くの土地や井戸にも影響があるのか」と気になっている方もいるでしょう。
今回確認されたのは、調査対象地での基準超過です。論地町全体や周辺の土地まで同じ状態だと判断することはできません。 今後は、愛知県による周辺調査と、事業者による追加調査・対策の内容を分けて確認する必要があります。
この記事では、公表された数値の読み方、周辺で井戸を使う方の確認先、土地所有者が売却や活用の前に整理したいことを解説します。
※2026年10月1日時点で確認した、愛知県の2026年9月30日付公表資料に基づく内容です。
確認の基本|対象地の調査結果・現在の管理・周辺調査を分けて見る
今回の発表は、特定の工場跡地で土壌と地下水の基準超過が確認されたというものです。周辺の個々の土地や井戸についてまで、同じ結果が出たという発表ではありません。
また、現在の飛散防止措置があることと、追加調査や対策が完了したことも別です。
公表資料を読む際は、次の3点を分けて捉えると理解しやすくなります。
| 確認すること | 読み取るポイント |
|---|---|
| 対象地の調査結果 | 何が、どの検査で、どの程度検出されたか |
| 現在の管理状況 | 舗装やシート、立入り制限などがどうなっているか |
| 今後の対応 | 汚染範囲の追加調査、周辺調査、対策の検討がどう進むか |
近隣に土地を持っている場合も、ニュースだけで売却や工事を急いで決めるのではなく、自分の土地に関係する情報を確認することから始めましょう。
高浜市論地町の工場跡地で何が公表された?
愛知県は2026年9月30日、高浜市内の土地について、土壌・地下水汚染が判明したとの報告を受けたことを公表しました。
対象地の概要は次のとおりです。
| 項目 | 公表内容 |
|---|---|
| 公表・報告日 | 2026年9月30日 |
| 所在地 | 高浜市論地町 |
| 調査対象面積 | 5,616.22㎡ |
| 過去の利用 | 1967年頃から2022年まで、ガラスフリット・瓦や陶器用釉薬の製造工場 |
| 現在の利用 | 未利用地 |
| 土壌の基準超過 | 鉛・ふっ素・ほう素 |
| 地下水の基準超過 | ふっ素・ほう素 |
ガラスフリットはガラス粉、釉薬は陶器や瓦などの表面に用いられる「うわぐすり」です。
現在は未利用地でも、過去には製造工場として使われていました。土地の状態を考える際には、現在の見た目に加えて、以前の利用方法を確認する意味がある事例です。
詳しい公表内容は、愛知県「高浜市における土壌・地下水汚染について」で確認できます。
基準超過の数値は、土壌と地下水を分けて読む
「基準の何倍か」を見る前に、何を検査した数値なのかを確認しましょう。土壌溶出量、土壌含有量、地下水は、それぞれ異なる検査項目です。
- 土壌溶出量:決められた試験方法で、土から水に溶け出す物質を調べるもの
- 土壌含有量:決められた試験方法で、土に含まれる物質を評価するもの
- 地下水:採取した地下水に含まれる物質を調べるもの
公表された基準超過の最大値
| 検査区分 | 物質※ | 最大値 | 基準値 | 基準に対する倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 土壌溶出量 | 鉛 | 0.068mg/L | 0.01mg/L以下 | 6.8倍 |
| 土壌溶出量 | ふっ素 | 2.8mg/L | 0.8mg/L以下 | 3.5倍 |
| 土壌溶出量 | ほう素 | 630mg/L | 1mg/L以下 | 630倍 |
| 土壌含有量 | 鉛 | 15,000mg/kg | 150mg/kg以下 | 100倍 |
| 土壌含有量 | ほう素 | 38,000mg/kg | 4,000mg/kg以下 | 9.5倍 |
| 地下水 | ふっ素 | 1.9mg/L | 0.8mg/L以下 | 2.4倍 |
| 地下水 | ほう素 | 57mg/L | 1mg/L以下 | 57倍 |
※正式には、いずれも「及びその化合物」を含みます。倍率は愛知県の公表値です。出典:愛知県の発表資料。
「630倍」は敷地全体や周辺住宅の濃度を表す数字ではない
630倍という数値は、調査で得られたほう素の土壌溶出量の最大値です。敷地全体の平均値ではなく、周辺住宅の土や水道水を測定した数値でもありません。
また、基準超過倍率をそのまま「健康被害の大きさが何倍」と読み替えることはできません。健康への影響を考えるには、物質の濃度だけでなく、人がどのような経路で接するかも確認する必要があります。
愛知県も、土壌汚染について、汚染された土の直接摂取や、物質が溶け出した地下水の飲用などを通じた影響を説明しています。
現在は舗装などで覆われ、今後は追加調査と周辺調査へ
汚染が判明した場所は、アスファルト・コンクリート舗装または不透水シートで覆われています。関係者以外の立入りも制限されています。
愛知県は、この被覆状況について、汚染土壌の飛散や雨水等による汚染拡散のおそれはないと説明しています。
ただし、これは地下水を含めたすべての調査や対策が完了したという意味ではありません。
今後は、事業者が追加調査で汚染範囲を把握し、その結果を踏まえて措置を検討する方針です。県は関係行政機関と連携し、周辺調査や井戸所有者への情報提供などを行うとしています。
公表時点では、具体的な対策工法、完了時期、跡地の利用計画まで確定したものとして扱うことはできません。
周辺で井戸を使っている場合、何を確認すればよい?
井戸を利用している方は、その井戸が周辺調査に関係するか、利用上の注意があるかを行政に確認してください。対象地の地下水の数値だけで、自宅の井戸の状態を判断することはできません。
問い合わせる際は、次の内容を整理しておくと説明しやすくなります。
- 井戸の所在地
- 飲用・調理・散水など、現在の使い道
- 現在も使用しているか
- 過去の水質検査結果があるか
- 行政から案内が届いているか
公表資料に記載された問い合わせ先は、愛知県西三河県民事務所 環境保全課・環境保全第二グループ(0564-27-2876)です。最新の窓口情報は、愛知県の発表ページをご確認ください。
土地の売却相談と、井戸水の利用や環境調査に関する相談は、確認先を分けると話が進めやすくなります。
土地所有者は、売る・貸す・使うと決める前に履歴と資料を確認
工場や作業場として使われていた土地を所有している場合は、価格や活用方法を決める前に、過去の利用状況と調査資料を整理しましょう。
一方で、今回の対象地に近いという理由だけで、自分の土地にも同じ汚染があると判断することはできません。 自分の土地の履歴と、行政が公表する周辺調査の情報を分けて確認してください。
1.過去に何に使われていた土地か
家族の記憶だけでなく、古い図面、航空写真、賃貸借契約書、工場の配置図なども手掛かりになります。
所有者自身が事業をしていなくても、以前の所有者や借主が工場・作業場として使っていたことがあります。分からない部分は、確認できた事実と分けて記録しておきましょう。
2.以前の調査は、どこまで調べたものか
土壌調査報告書が見つかった場合は、「調査済み」という言葉だけで判断せず、対象範囲・調査項目・深さ・実施時期を確認します。
一部の場所を調べた報告書を、土地全体についての結果と読み違えないことが大切です。読み方が分からない場合は、専門の調査機関へ確認してください。
3.行政上の指定や必要な手続きはあるか
愛知県は、土壌汚染対策法に基づく区域指定の情報を公開しています。
ただし、指定区域の一覧に載っていないことだけで、汚染がないと証明されたわけではありません。既存の調査資料や土地履歴とあわせて確認します。
制度と窓口は、愛知県「土壌汚染対策法に関する情報」から確認できます。
4.予定している工事と、確認の順序を整理する
建物の解体、舗装の撤去、造成、配管工事などを予定している場合は、土を掘る場所や深さも確認材料になります。
調査や行政への確認が必要か分からないまま、工期と費用だけを先に決めないようにしましょう。
| 検討していること | 決める前に整理したいこと |
|---|---|
| 売る | 調査結果、対策の状況、費用負担、買主へ伝える資料 |
| 貸す | 借主の用途、掘削の有無、管理方法 |
| 自分で使う・建てる | 建築計画と調査範囲、必要な手続き、工事工程 |
| 保有を続ける | 必要な管理、追加確認の有無、将来の利用予定 |
どの方法が適しているかは、土地の状況と所有者の事情によって変わります。保有を選ぶ場合も、必要な管理や行政対応の確認は別に行います。
周辺所有地は、ニュースだけで調査・売却を決めない
今回の対象地に近いという理由だけで、自分の土地にも同じ汚染があると判断することはできません。まず愛知県が公表する周辺調査の情報と、自分の土地の利用履歴・既存の調査資料を分けて確認します。
工場・作業場等の利用履歴があり、売却、建物解体、舗装撤去、造成、配管工事などを検討している場合は、工事を発注する前に必要な調査・届出・確認の有無を整理します。
手元にあれば、固定資産税の課税明細書、登記事項証明書、公図・測量図、過去の建物配置図、古い写真・賃貸借契約書、土壌・地下水調査報告書、行政通知、対策・工事記録をまとめておくと確認しやすくなります。
土地の売却条件を整理する場合は高浜市の不動産売却・査定ページも参考にしてください。土壌・地下水の状態や必要な専門調査の判断は、行政・指定調査機関などの専門機関へ確認します。
よくある質問
Q.論地町全体で汚染が確認されたということですか?
いいえ。今回の発表は、論地町にある特定の工場跡地の調査結果です。町全体や周辺の個々の土地まで同じ状態だと判断することはできません。周辺への影響は、行政の調査結果などを確認する必要があります。
Q.ほう素が630倍というのは、地下水の数値ですか?
いいえ。630倍は、ほう素の土壌溶出量の最大値です。地下水のほう素は最大57倍と公表されています。検査区分が異なるため混同せず、いずれも対象地の調査結果であることを踏まえて確認してください。
Q.舗装やシートで覆われていれば、対策は完了していますか?
対策が完了したとはいえません。舗装などによる飛散・雨水による拡散の防止と、汚染範囲の把握や今後の措置は別です。今回の発表では、追加調査を行ったうえで措置を検討するとされています。
Q.近隣に土地を持っている場合、すぐ土壌調査を依頼すべきですか?
近隣という理由だけで、一律に調査が必要とは判断できません。まず行政の周辺調査情報と、自分の土地の利用履歴、既存の調査資料を確認しましょう。必要な調査の有無や範囲は、行政や専門機関に相談して判断します。
参考情報
- 今回の調査結果と今後の対応は、愛知県「高浜市における土壌・地下水汚染について」(2026年9月30日発表)をご確認ください。
- 土壌汚染に関する制度や手続きは、愛知県「土壌汚染対策法に関する情報」で確認できます。
- 行政上の区域指定は、愛知県「土壌汚染対策法に基づく要措置区域・形質変更時要届出区域の指定状況」で確認できます。
関連情報:高浜市の不動産売却・査定相談はこちら



