安城市安城町にある「広美中継ポンプ場」で、大規模な設備更新が進められています。

安城市の2026年度9月補正予算では、「広美中継ポンプ場電気及び機械設備更新事業」の総額が、

5億5,500万円 → 6億7,000万円

へ変更されました。

さらに、当初は2026年度・2027年度の2年間だった事業期間も、

2028年度までの3年間

へ延長されています。

また、2026年7月には別途、

「広美中継ポンプ場発電機棟液状化対策検討業務委託」

も発注されています。

ただし、ここで最初に注意したい点があります。

広美中継ポンプ場は、大雨の雨水を排水するための「雨水ポンプ場」ではありません。

三河安城周辺などから流れてくる汚水をくみ上げて送るための公共下水道施設です。

この記事では、2026年10月時点の安城市公式資料をもとに、

  • なぜ事業費が6.7億円になったのか
  • 2028年度まで何が行われるのか
  • 広美中継ポンプ場はどの地域を支えているのか
  • 液状化対策検討とは何なのか
  • 周辺不動産を見る際に何に注意すべきか

を分かりやすく整理します。

先に結論|広美中継ポンプ場の更新事業は6.7億円・2028年度までに変更

今回の変更内容を先にまとめます。

項目当初計画2026年9月補正後
事業総額5億5,500万円6億7,000万円
事業期間2026~2027年度2026~2028年度
2026年度2億2,200万円1億3,400万円
2027年度3億3,300万円4億200万円
2028年度―1億3,400万円

単純に2026年度の工事費を増やしたわけではありません。

全体事業費を増額した一方で、2026年度の年割額は減額し、2027年度・2028年度へ事業を組み直しています。

特に2027年度は、

4億200万円

と、3年間で最も大きな事業費が設定されています。

当初は5億5,500万円・2027年度までの予定だった

2026年度当初予算では、「広美中継ポンプ場電気及び機械設備更新事業」は、

総額5億5,500万円

でした。

内訳は、

2026年度

2億2,200万円

2027年度

3億3,300万円

の2年間です。

ところが2026年度9月補正で、

総額6億7,000万円

へ変更されています。

差額は、

1億1,500万円の増額

です。

同時に、工期も2028年度まで延長されました。

2026年度の予算はむしろ減っている

興味深いのは、全体事業費は増えている一方で、2026年度分については、

2億2,200万円 → 1億3,400万円

へ減額されている点です。

差額は8,800万円です。

その一方、

2027年度

3億3,300万円
↓
4億200万円

2028年度

1億3,400万円を新たに設定

という形になっています。

つまり、

2026年度に予定していた工程の一部を後年度へ組み替えながら、事業全体の規模も拡大した

と見ることができます。

なぜ6.7億円に増額された?

増額の具体的な理由は、現在確認できる公式資料だけでは特定できません。

今回確認できる安城市の9月補正予算書には、

  • 総額5億5,500万円から6億7,000万円への変更
  • 2028年度の追加
  • 年割額の変更

は明記されています。

しかし、

なぜ1億1,500万円増額されたのかという具体的な理由までは記載されていません。

例えば、

  • 資材価格上昇
  • 人件費上昇
  • 設備仕様の変更
  • 工事範囲の拡大
  • 工程変更

などの可能性は考えられますが、公式資料で確認できない以上、どれかを理由として断定することはできません。

今後、工事発注資料や議会資料などで詳細が明らかになる可能性があります。

そもそも「広美中継ポンプ場」とは?

広美中継ポンプ場は、

安城市安城町広美38番地

にある公共下水道施設です。

施設概要を整理すると次のとおりです。

項目内容
名称安城市公共下水道 広美中継ポンプ場
所在地安城市安城町広美38番地
敷地面積883㎡
供用開始1993年4月1日
現在対応可能な区域約310.7ha
全体計画区域約357ha
現有能力6,148㎥/日平均
全体計画能力9,738㎥/日平均

1993年4月の供用開始から、すでに30年以上が経過しています。

そのため、設備の計画的な更新が必要な時期に入っています。

広美中継ポンプ場は何をしている施設?

広美中継ポンプ場の役割を簡単に説明すると、

下水を高い位置までくみ上げ、再び自然勾配で流せるようにする施設

です。

下水道は基本的に、道路の地下に設置された管の勾配を利用して流します。

しかし、長い距離を自然勾配だけで流そうとすると、下水管が非常に深い位置になってしまう場所があります。

そこで途中にポンプ場を設置し、

下水をくみ上げる
↓
高い位置の管へ送る
↓
再び自然勾配で流す

という仕組みを使います。

広美中継ポンプ場は、この「中継」の役割を担っています。

安城市にある公共下水道ポンプ場は広美中継ポンプ場1カ所

安城市の下水道事業経営戦略では、公共下水道のポンプ場は、

広美中継ポンプ場1カ所

とされています。

市内にはマンホールポンプなどの小型設備もありますが、大規模な公共下水道ポンプ場として位置付けられているのが広美中継ポンプ場です。

そのため、設備更新は安城町だけのローカルな工事ではありません。

広い地域の下水道インフラに関係します。

三河安城周辺など約357haの汚水を対象

広美中継ポンプ場の全体計画では、次の地域の一部から発生する汚水を対象としています。

  • 三河安城本町
  • 三河安城町
  • 三河安城東町
  • 三河安城南町
  • 二本木町
  • 箕輪町
  • 福釜町
  • 横山町
  • 桜町
  • 百石町
  • 赤松町
  • 安城町

全体計画区域は、

約357ha

です。

現在の施設はそのうち、

約310.7ha

に対応可能な能力を持っています。

つまり、「広美」という名称ですが、実際には三河安城駅周辺を含む広い地域の下水道を支える施設です。

広美中継ポンプ場は「雨水対策施設」ではない

この記事で特に誤解を避けたいのがこの点です。

「ポンプ場」という名称から、

「豪雨のときに道路や住宅地の雨水を排水する施設」

と思う方もいるかもしれません。

しかし、安城市は広美中継ポンプ場について、

矢作川処理区の一部から発生する汚水をポンプアップする施設

としています。

そのため、今回の6億7,000万円の設備更新を、

「浸水対策の大型工事」

「豪雨時の排水能力を強化する工事」

と表現するのは正確ではありません。

安城市では雨水対策として調整池・排水路・雨水ポンプなどの整備も行っていますが、広美中継ポンプ場とは別の事業です。

安城市の調整池監視強化についてはこちらで整理しています。

安城市が調整池等の遠隔監視を強化|水位・ポンプをリアルタイム監視

なぜ30年以上経ったポンプ場を更新する?

安城市の下水道事業経営戦略では、広美中継ポンプ場の機械・電気設備について、

耐用年数はおおむね10~20年程度

とされています。

下水管そのものに比べ、

  • ポンプ
  • モーター
  • 制御盤
  • 電気設備
  • 発電設備

などは寿命が短く、定期的な改築・更新が必要です。

そのため安城市では、ストックマネジメント計画に基づいて、費用を平準化しながら修繕・改築を進める方針です。

今回の6.7億円の工事も、突然始まったものではありません。

2024年度から電気設備改築の詳細設計を実施

安城市は2024年度に、

「広美中継ポンプ場電気設備改築詳細設計業務委託」

を発注しています。

つまり、

2024年度
詳細設計

↓

2026年度以降
設備更新工事

という流れで事業が進められています。

2024年度の設計業務は、日本水工設計株式会社名古屋支社が落札しています。

設備更新に向けた準備自体は、数年前から進められていたことが分かります。

2026年にはポンプ・破砕機増設工事も計上

2026年度当初予算では、今回の電気・機械設備更新とは別に、

広美中継ポンプ場ポンプ・破砕機増設工事費 1億3,000万円

も計上されています。

つまり現在の広美中継ポンプ場では、

既存設備を更新する工事

と、

ポンプ・破砕機を増設する工事

が並行して計画されています。

ポンプ場全体の設備構成を見直す大きな更新時期に入っていると考えられます。

2026年7月には「発電機棟液状化対策検討」も発注

もう一つ注目したいのが地震対策です。

安城市は2026年7月、

「広美中継ポンプ場発電機棟液状化対策検討業務委託」

を発注しています。

案件番号は、

2026205725

です。

これは名称のとおり、

広美中継ポンプ場の発電機棟について、液状化対策を検討する業務

です。

災害時に停電しても下水道設備を稼働させるためには、非常用発電設備が重要になります。

広美中継ポンプ場ではすでに耐震化も実施

安城市の下水道ビジョンでは、広美中継ポンプ場について、

2021年度に建屋と土木躯体の耐震化を実施した

とされています。

つまり、この施設では、

  • 建物・土木構造物の耐震化
  • 非常用発電設備
  • 液状化対策検討
  • 電気・機械設備更新

と、地震・停電時も下水道機能を維持するための対策が段階的に進められています。

「液状化対策検討=周辺の土地が危険」という意味ではない

この点は、周辺不動産の災害リスクを考えるうえで重要です。

広美中継ポンプ場で液状化対策を検討しているからといって、

「安城町広美周辺はすべて液状化する」

「三河安城周辺の住宅地は危険」

という意味ではありません。

今回の業務対象は、

広美中継ポンプ場の発電機棟

です。

特定の公共施設について、災害時にも重要設備を使えるようにするための検討です。

個別の土地について液状化リスクを確認する場合は、

  • 安城市のハザード情報
  • 愛知県の地震・液状化情報
  • 地形
  • 地盤
  • 造成履歴
  • ボーリングデータ

などを確認する必要があります。

公共施設の対策検討だけから周辺土地の危険度を判断することはできません。

今回の設備更新で地価は上がる?

広美中継ポンプ場に6.7億円を投じるからといって、

周辺地価が上昇すると判断することはできません。

今回の事業は、商業施設や駅前開発のように新たな集客を生み出す開発ではありません。

既存の下水道インフラを維持・更新する事業です。

不動産価格には、

  • 駅までの距離
  • 前面道路
  • 土地面積
  • 土地形状
  • 用途地域
  • 建ぺい率・容積率
  • 浸水リスク
  • 地震リスク
  • 周辺住宅需要
  • 実際の成約価格

など多くの条件が影響します。

したがって今回の事業は、

「地域インフラが将来も安定して使えるよう更新が進められている」

という材料の一つとして捉えるのが適切です。

三河安城周辺で土地・住宅を見る場合はインフラとハザードを分ける

広美中継ポンプ場の対象区域には、三河安城周辺も含まれています。

不動産を購入・売却するときには、

インフラ

  • 公共下水道
  • 上水道
  • 道路
  • 公共交通
  • 公園
  • 学校

と、

災害リスク

  • 洪水
  • 内水
  • 高潮
  • 地震
  • 液状化

を分けて確認することが重要です。

例えば、

下水道設備が更新されること

と、

その土地の浸水リスクが低くなること

は同じではありません。

この2つを混同しないようにしてください。

2026年10月以降に確認したい6つのポイント

広美中継ポンプ場について、今後特に注目したいのは次の点です。

1.6.7億円へ増額した具体的理由

現在の補正予算書からは詳細を確認できません。

2.更新する設備の詳細

電気・機械設備のどの部分が更新されるのか、今後の工事資料が注目です。

3.2027年度の工事内容

3年間で最も大きい、

4億200万円

が設定されています。

4.2028年度まで延長した理由

具体的な工程表が公表されるか確認したいところです。

5.液状化対策検討の結果

発電機棟について、実際にどのような対策が必要と判断されるのかが重要です。

6.追加工事の有無

液状化対策検討の結果によって、別途工事が必要になる可能性があります。

ただし、現時点では追加工事が決定したとは確認できません。

安城市ではほかの下水道・雨水施設も更新中

安城市では広美中継ポンプ場だけでなく、市内各地で上下水道・雨水対策施設の更新が進められています。

2026年度には、調整池の水位やポンプ稼働状況を遠隔監視するシステム整備も進められています。

安城市が調整池等の遠隔監視を強化|水位・ポンプをリアルタイム監視

また、安城市は2026年10月1日に建設工事の発注見通しも更新しています。

安城市が2026年10月1日に建設工事の発注見通しを更新

公共インフラの更新は、一つの工事だけを見るのではなく、市全体の計画と合わせて確認することが重要です。

まとめ|広美中継ポンプ場は6.7億円をかけ2028年度まで更新

安城市の広美中継ポンプ場では、電気・機械設備の大規模更新が進められています。

2026年度9月補正によって、

総事業費
5億5,500万円 → 6億7,000万円

事業期間
2026~2027年度 → 2026~2028年度

へ変更されました。

変更後の年割額は、

  • 2026年度 1億3,400万円
  • 2027年度 4億200万円
  • 2028年度 1億3,400万円

です。

広美中継ポンプ場は、

三河安城本町・三河安城町・三河安城東町・三河安城南町などを含む約357ha

を全体計画区域とする、安城市の重要な公共下水道施設です。

また2026年には、発電機棟の液状化対策検討も行われています。

ただし、

広美中継ポンプ場は雨水排水施設ではありません。

今回の設備更新を、

「安城市の豪雨対策」

「浸水対策で排水能力が上がる」

と単純に説明するのは正確ではありません。

今回確認できるのは、

30年以上稼働している重要な下水道施設について、電気・機械設備の更新と災害時の機能維持に向けた検討が進められている

ということです。

今後は、増額理由、具体的な工事内容、2027年度の工程、液状化対策検討の結果などに注目です。

安城市で土地・住宅を所有している場合も、公共インフラの更新だけで価格を判断するのではなく、用途地域、道路、ハザード情報、土地形状、実際の成約価格などを総合的に確認することが重要です。

安城市の不動産売却相談|土地・戸建・空き家・相続不動産

よくある質問

Q.広美中継ポンプ場はどこにありますか?

安城市安城町広美38番地です。

敷地面積は883㎡で、1993年4月1日に供用を開始しています。

Q.広美中継ポンプ場の更新費はいくらですか?

2026年度9月補正で、電気及び機械設備更新事業の総額が5億5,500万円から6億7,000万円へ変更されました。

Q.いつまで工事が続きますか?

当初は2027年度まででしたが、補正後は2028年度までの3年間に変更されています。

Q.なぜ1億1,500万円増えたのですか?

安城市の補正予算書では総額・年割額の変更は確認できますが、具体的な増額理由までは確認できません。

資材高など特定の理由を現時点で断定することはできません。

Q.広美中継ポンプ場は雨水を排水する施設ですか?

いいえ。

安城市の資料では、矢作川処理区の一部から発生する汚水をポンプアップする施設です。

大雨の雨水を排水する雨水ポンプ場とは役割が異なります。

Q.どの地域の下水を扱っていますか?

全体計画では、三河安城本町、三河安城町、三河安城東町、三河安城南町、二本木町、箕輪町、福釜町、横山町、桜町、百石町、赤松町、安城町の一部、約357haを対象としています。

Q.液状化対策をしているということは周辺の土地も危険ですか?

それだけでは判断できません。

今回確認されているのは、広美中継ポンプ場の「発電機棟」を対象とした液状化対策検討です。

個別の土地については、公的な液状化情報や地盤条件などを別途確認する必要があります。

Q.この工事で周辺の土地価格は上がりますか?

設備更新だけを理由に地価上昇を判断することはできません。

不動産価格は駅距離、道路、用途地域、土地形状、災害リスク、需要、実際の成約事例など複数の条件によって決まります。

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参考情報

安城市|令和8年度予算
https://www.city.anjo.aichi.jp/shisei/zaisei/yosan/documents/r8.html

安城市|令和8年度9月補正予算書・予算説明書
https://www.city.anjo.aichi.jp/shisei/zaisei/yosan/documents/documents/r8yosannsyosetumeisyo.pdf

安城市|令和8年度当初予算 主要事業概要
https://www.city.anjo.aichi.jp/shisei/pressrelease/documents/26020501-1.pdf

安城市|令和7年度 安城の下水道
https://www.city.anjo.aichi.jp/manabu/documents/anjosinogesuiou.pdf

安城市|下水道事業経営戦略
https://www.city.anjo.aichi.jp/kurasu/suido/gesuido/documents/gesuikeieisenryaku.pdf

安城市|広美中継ポンプ場電気設備改築詳細設計業務委託
https://www.city.anjo.aichi.jp/faq/zigyo/nyusatsu/2024200728sekkei.html

安城市|質疑回答公表案件(委託)
https://www.city.anjo.aichi.jp/zigyo/nyusatsu/keiyaku/yoteikekka/shitsugi-itaku.html