安城市で、大雨時に使用する雨水調整池やポンプ施設の監視方法が変わります。

安城市は2026年度、市内の調整池について、

  • 水位
  • ポンプの運転・停止
  • 故障

などを市役所から遠隔確認できる「調整池等監視システム」の構築を進めています。

2026年10月時点の公表資料では、今回のシステム構築業務の対象として7カ所の調整池が明示されています。

一方、安城市建設部の2026年度重点取組では、

「調整池等監視システムを設置(8か所)」

としています。

なぜ「8か所」と「7調整池」で数字が違うのでしょうか。

この記事では、

  • 遠隔監視の対象となる7調整池
  • 監視システムで何が分かるのか
  • 8か所方針との違い
  • 2027年度に予定する既存10施設の移行
  • 総事業費7,100万円の内訳
  • 水害ハザードマップとの違い
  • 周辺不動産を見るときの注意点

まで、安城市の公式資料をもとに整理します。

結論|2026年度は7調整池を新システム対象として公表

最初に全体像をまとめます。

項目内容
事業名安城市調整池等監視システム構築業務
目的水位・ポンプ稼働状況を庁内から遠隔監視
2026年度公募資料の対象7調整池
市の年度重点目標8か所に設置
データ取得1分間隔
異常時担当職員へメール等で警報
稼働開始希望2027年3月31日
2027年度既存監視システム10施設の移行を別業務で予定
計画上の総事業費7,100万円
2026年度新規システム設置 4,700万円
2027年度既存システム更新 2,400万円
優先交渉権者株式会社建設技術研究所 中部支社

今回のポイントは、新しい調整池を7カ所造る事業ではありません。

既存の雨水対策施設をリアルタイムに近い形で監視しやすくする事業です。

「ため池」ではなく雨水を貯める「調整池」

今回の対象は、一般に想像する農業用ため池とは異なります。

調整池は、大雨が降った際に雨水を一時的に貯めて、下流の河川・水路などへ一度に大量の水が流れ込むことを抑える施設です。

そのため今回のシステムでは、

調整池の水位

だけでなく、

排水ポンプが正常に動いているか

も重要になります。

農業用ため池の堤防監視などを目的とした事業ではありません。

2026年度に対象となる7調整池

2026年7月の質問内容を反映した安城市の「対象施設一覧」では、今回の業務対象として次の7カ所が掲載されています。

調整池所在地新しい圧力式水位計
桜井1号調整池桜井町新田19-18―
桜井2号調整池姫小川町姫西1丁目12-2―
正福田調整池三河安城南町2丁目11-1設置
榎前調整池榎前町井杭山247-4―
上倉調整池東栄町6丁目9設置
梨の里調整池篠目町童子204-1設置
二本木調整池三河安城本町1丁目14-1設置

7施設すべてに伝送装置を設ける予定です。

そのうち、

  • 正福田調整池
  • 上倉調整池
  • 梨の里調整池
  • 二本木調整池

では圧力式水位計の設置も予定されています。

これら4施設では、既存のフロート式水位計との併用が記載されています。

7カ所は安城市内のどこにある?

対象を見ると、1つの地域だけではありません。

桜井・姫小川

  • 桜井1号調整池
  • 桜井2号調整池

三河安城

  • 正福田調整池
  • 二本木調整池

新安城・北部

  • 上倉調整池
  • 梨の里調整池

安城市南西部

  • 榎前調整池

というように、市内の複数エリアに分かれています。

つまり今回の遠隔監視は、一部の浸水地域だけを対象にした対策ではなく、市内に点在する雨水排水施設の管理方法を共通化する取組と見る方が適切です。

何を1分間隔で監視する?

安城市の仕様書では、管理クラウドへ送るデータについて具体的に示しています。

水位

調整池に設置された水位計のデータを、

1分間隔

で取得します。

ポンプ

ポンプ施設について、

  • 停止
  • 運転
  • 故障

などの状態も、

1分間隔

で取得します。

一画面で確認

水位とポンプの状態を組み合わせ、概要図などで視覚的に確認できる画面を求めています。

過去データを保存

取得データをデータベース化して、過去の状況も確認できるようにします。

CSV等での出力にも対応します。

異常時は職員へ警報

ポンプ施設などに異常が確認された場合には、

担当職員へ電子メール等で警報

を送る機能も求められています。

通知先は3名程度が想定されています。

遠隔監視で何が変わる?

これまで現地確認が必要だった状況でも、庁内から、

「現在の水位はどの程度か」

「ポンプは動いているか」

「故障していないか」

を確認しやすくなります。

特に大雨時には、複数の施設を同時に確認する必要があります。

遠隔監視できれば、

異常を発見
↓
対象施設を特定
↓
必要な現地対応

という判断を早く行える可能性があります。

ただし、監視システムは排水能力そのものを増やす施設ではありません。

水を多く流せるようになる設備ではなく、施設の状態を把握する設備

という違いがあります。

「8か所」と「7調整池」はなぜ違う?

今回の記事で最も分かりにくい部分です。

安城市建設部の2026年度重点取組では、

「調整池等監視システムを設置(8か所)」

と明記されています。

一方、2026年7月の公募資料で「本業務」の対象として具体的に掲載されたのは、

7調整池

です。

現時点では差の理由を断定できない

公開資料だけでは、

  • 1施設が別業務になった
  • 当初計画から変更された
  • 「8か所」に調整池以外の施設を含む
  • 工程上の違い

のどれなのか確認できません。

そのため、

年度方針では8か所

今回のシステム構築業務資料では7調整池

と分けて記載するのが正確です。

今後、契約内容や追加資料が公表されれば確認できる可能性があります。

2027年度には既存10施設を新システムへ移行予定

対象施設一覧には、今回の7調整池とは別に、

「システム移行作業業務対象施設一覧(別業務)」

も掲載されています。

対象は次の10施設です。

施設所在地
追田川調整池新田町吉池1
安祥閣調整池安城町馬池99-1
大池公園調整池大東町25-1675-2
大池調整池大東町20-8
大東調整池大東町1-6
末広公園調整池末広町23-33
明本公園調整池明治本町18-945
二本木小学校調整池緑町1丁目23-1
宮前ポンプ場安城町社口堂111-1
根崎ポンプ場根崎町東家下55-7

今回対象の7施設と合わせると、公表された施設一覧では計17施設が確認できます。

ただし、2027年度の10施設については今回の構築業務とは別業務です。

大池調整池も既存システム移行対象

大池調整池は、大東町20-8にあります。

対象施設一覧では、

  • ポンプ4基
  • ゲート開度の信号あり

と記載されています。

この大池調整池では2026年、ポンプ更新に関する入札の中止・再発注も行われています。

つまり安城市では、

ポンプそのものの設備更新

と、

水位・ポンプ状態を確認する監視システム

の両方を進めています。

大池調整池のポンプ更新はこちらで詳しく整理しています。

安城市・大池調整池ポンプと福釜東部浄化センターはどうなる?

監視システムの総事業費は7,100万円

第9次安城市総合計画の実施計画では、「調整池等監視システム改修」の総事業費を、

7,100万円

としています。

内訳は、

2026年度

新規システム設置工事

4,700万円

2027年度

既存システム更新工事

2,400万円

です。

2028年度はこの実施計画上、事業費の計上はありません。

したがって、2026年度だけのシステム構築を「7,100万円の工事」と表現するのは正確ではありません。

2026~2027年度を合わせた計画上の総事業費が7,100万円

と理解する必要があります。

いつから使われる?

今回の仕様書では業務履行期間を、

契約締結日の翌日~2027年3月31日

としています。

また、

2027年3月31日をシステム稼働開始希望時期

としています。

正式な稼働日は受注者と安城市が協議して決定します。

2027年度には、既存システムから新システムへの移行業務を別途行う予定です。

つまり、

2026年度
新システム構築+新規施設

↓

2027年度
既存施設を順次移行

という流れです。

優先交渉権者は建設技術研究所 中部支社

安城市のプロポーザルには、

  • 株式会社キャッチネットワーク
  • 愛知時計電機株式会社 名古屋支店
  • 株式会社建設技術研究所 中部支社

の3者が提案しました。

審査の結果、2026年9月11日時点で、

株式会社建設技術研究所 中部支社

が優先交渉権者に決定しています。

ここで注意したいのは、公式ページの表現が「優先交渉権者」である点です。

契約締結済みと同じ意味ではありません。

なぜ今、調整池の監視を強化する?

安城市では2026年、第2次安城市雨水マスタープランの中間評価を行っています。

市は、

近年の社会情勢の変化や気候変動の影響

などを踏まえ、雨水対策を見直しています。

雨水対策には、

  • 河川・下水道整備
  • ポンプ設備
  • 調整池
  • 雨水貯留施設
  • グリーンインフラ
  • 防災情報
  • 施設の維持管理

など複数の対策があります。

今回の遠隔監視システムは、その中でも維持管理・異常の早期発見に関係する取組です。

安城市では想定最大規模の内水浸水区域も公表

調整池の監視システムを理解するうえで知っておきたいのが「内水氾濫」です。

安城市は雨水出水浸水想定区域を指定しています。

想定条件は、

1時間雨量147mm

という想定最大規模降雨です。

市では「1000年に1回程度の確率で発生する規模」と説明しています。

この雨が降り、下水道・水路などで排水しきれなくなった場合に想定される、

  • 浸水範囲
  • 浸水深
  • 浸水継続時間

を地図で確認できます。

調整池はこうした雨水を処理する都市排水施設の一部です。

監視システムができてもハザードマップが消えるわけではない

ここは不動産所有者にとって特に重要です。

今回の監視システムが完成しても、

水害リスクそのものがなくなるわけではありません。

システムの役割は、

施設の状態を早く把握すること

です。

そのため、

「近くの調整池が遠隔監視されるから浸水しなくなる」

「ハザードマップの色が消える」

とは判断できません。

ハザード情報は別に確認する必要があります。

安城市の水害リスクについてはこちらで詳しく解説しています。

安城市水害ハザードマップ2026年版の見方|不動産売却への影響

調整池の近く=浸水しやすい土地?

これも一概には言えません。

調整池は周辺の雨水を一時的に貯めるために設置される施設ですが、

「調整池が近い」という事実だけで個別土地の浸水リスクは判断できません。

不動産を見る場合は、

  • 洪水浸水想定区域
  • 雨水出水浸水想定区域
  • 内水浸水想定
  • 土地の標高
  • 道路との高低差
  • 過去の浸水実績
  • 周辺の水路
  • 敷地内排水

まで確認します。

特に同じ町内でも、数十センチの土地の高低差や道路形状によって水の集まり方が異なることがあります。

不動産取引では水害ハザードマップの説明が必要

安城市は、不動産取引時の水害ハザードマップについて公式に案内しています。

確認対象には、

  • 国の洪水浸水想定区域
  • 愛知県の洪水浸水想定区域
  • 高潮浸水想定区域
  • 安城市の雨水出水浸水想定区域

があります。

そのため、土地や建物の売却では、

「調整池が近くにあるか」より、対象不動産が法定ハザードマップ上でどこに位置するか

を確認する方が重要です。

ハザードマップに色が付いていても売却できる

浸水想定区域に入っているからといって、不動産が売却できないわけではありません。

売却時には、

  • 想定浸水深
  • 浸水の原因
  • 建物構造
  • 敷地の高さ
  • 過去の浸水履歴
  • 周辺道路
  • 駐車場や設備の高さ

などを整理します。

逆に、ハザードマップ上で着色されていない土地も、

絶対に浸水しない土地という意味ではありません。

安城市も、雨水出水浸水想定区域図について、着色のない区域でも降雨状況によって浸水する場合があると案内しています。

監視対象地域の不動産価格は上がる?

今回の監視システムだけを理由に、

「対象調整池周辺の土地価格が上がる」

と判断することはできません。

土地価格は、

  • 駅距離
  • 前面道路
  • 土地形状
  • 用途地域
  • 学区
  • 周辺供給
  • ハザード
  • 成約事例

など複数の条件によって決まります。

雨水対策の強化は地域を見る材料の一つですが、単独で不動産価格の上昇・下落を予測する材料にはなりません。

安城市で土地・戸建ての売却価格を確認したい場合はこちらもご覧ください。

安城市の不動産売却相談|土地・戸建・空き家・相続不動産

安城市では雨水施設の更新も並行して進む

安城市では、今回の遠隔監視以外にも雨水・排水施設の維持更新が進められています。

大池調整池ではポンプ更新が行われ、その他の河川・排水施設も雨水マスタープランに沿って整備されています。

一方、

広美中継ポンプ場

は雨水排水施設ではなく、下水を中継するためのポンプ場です。

同じ「ポンプ場」でも役割は異なります。

設備更新の記事を見る際は、

雨水排水なのか、下水道施設なのか

を分けて理解する必要があります。

まとめ|安城市の調整池管理は「現地確認」から「遠隔・一元監視」へ

安城市では2026年度、調整池等監視システムの構築を進めています。

今回の公募資料で具体的に確認できる対象は、

7調整池

です。

システムでは、

  • 水位を1分間隔で取得
  • ポンプの運転・停止・故障を1分間隔で取得
  • クラウド上で一元確認
  • 過去データを保存
  • 異常時に担当職員へ警報

という仕組みが想定されています。

2027年3月31日の稼働開始を希望し、その後2027年度には既存10施設を新しい監視環境へ移行する予定です。

実施計画上の総事業費は、

7,100万円

で、

2026年度4,700万円
2027年度2,400万円

となっています。

一方、市の年度重点目標では「8か所」とされていますが、今回の公募資料に明示されているのは7調整池です。

この1施設の差は現時点の公開情報だけでは断定できません。

また、このシステムが導入されても水害リスクそのものがなくなるわけではありません。

不動産の購入・売却では、

調整池の有無
+洪水
+雨水出水
+土地の高さ
+過去の浸水状況

を個別に確認することが重要です。

よくある質問

Q.安城市は何カ所の調整池を遠隔監視する予定ですか?

2026年度の公募資料で今回業務の対象として確認できるのは7調整池です。

一方、安城市建設部の2026年度重点取組では「8か所」とされています。

差の理由は現在の公開資料だけでは確認できません。

Q.どの調整池が今回の対象ですか?

桜井1号、桜井2号、正福田、榎前、上倉、梨の里、二本木の7調整池です。

Q.何分ごとに水位を確認しますか?

仕様書では水位データ・ポンプ状態ともに1分間隔で取得することが求められています。

Q.故障するとどうなりますか?

ポンプ施設等に異常が確認された場合、担当職員へ電子メール等で警報を発報する機能が求められています。

Q.監視システムはいつ稼働しますか?

仕様書では2027年3月31日を稼働開始希望時期としています。正式日程は安城市と受注者の協議で決定されます。

Q.大池調整池も対象ですか?

今回の新規7施設には含まれませんが、2027年度以降に予定される既存システム移行業務の対象施設一覧に掲載されています。

Q.調整池の近くなら水害リスクは低いですか?

調整池があることだけでは判断できません。

洪水・雨水出水浸水想定区域、土地の高さ、排水状況、過去の浸水実績などを個別に確認する必要があります。

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参考情報

安城市|安城市調整池等監視システム構築業務に係る公募型プロポーザル
https://www.city.anjo.aichi.jp/kurasu/bosaibohan/documents/tyouseitikansisystem.html

安城市|第2次安城市雨水マスタープラン
https://www.city.anjo.aichi.jp/shisei/joreikeikaku/usuimasuterplan.html

安城市|雨水出水浸水想定区域の指定について
https://www.city.anjo.aichi.jp/kurasu/bosaibohan/documents/usuishussuisinnsui.html

安城市|安城市水害ハザードマップ
https://www.city.anjo.aichi.jp/kurasu/bosaibohan/yakudachi/hazardmap/

安城市|建設部2026年度重点取組
https://www.city.anjo.aichi.jp/soshiki/kensetsubu/index.html

安城市|第9次安城市総合計画 実施計画
https://www.city.anjo.aichi.jp/shisei/joreikeikaku/sogokeikaku/documents/jisshikeikaku8-10.pdf