安城市は2026年度に「企業立地ニーズ調査」を再実施していますが、2026年10月13日時点で新しい工業団地の具体的な場所が決まったことは確認できていません。 市の当初予算では調査委託料1,000万円を計上し、2026年6月2日に業務委託を公告、6月19日に開札日が設定されました。

一方、2022年度の前回調査では、企業が安城市内で重視するエリアや必要とする土地面積について具体的な数字が公表されています。このページでは、2026年度調査の位置付けと、前回調査から分かる国道1号・23号周辺や大規模事業用地の需要を整理します。

2026年度は企業需要を再確認する段階|新工業団地の場所は未発表

まず現在の状況を整理します。

項目内容
2026年度企業立地推進事業費2,859万5,000円
企業立地ニーズ調査委託料1,000万円
公告2026年6月2日
開札日2026年6月19日
2026年度調査結果2026年10月13日時点で未確認
新工業団地の具体的場所未発表
既に事業化済み安城北山崎地区工業用地
現行企業立地推進計画2024~2031年度

つまり現在は、

企業がどこに、どれくらいの面積を必要としているのかを改めて把握する段階

と考えるのが適切です。

なぜ2026年度にもう一度調査する?

安城市は2022年度にも企業立地ニーズ調査を行っています。

その結果は、現在の「安城市企業立地推進計画」や産業ゾーンを検討する基礎資料として利用されています。

しかし企業の設備投資計画や必要な敷地規模は固定されたものではありません。

前回調査から数年が経過しているため、現在の企業ニーズを改めて確認する意味があります。

2026年度当初予算でも、企業立地推進事業として、

  • 北山崎地区工業団地関連外部アドバイザー
  • 企業信用調査
  • 地区外交差点改良工事負担金
  • 企業立地ニーズ調査

が計上されています。

単なる統計調査ではなく、今後の企業立地政策を検討する材料の一つと見ることができます。

2022年度調査では2,389社が回答、55社が新規立地の可能性あり

2022年度の企業立地ニーズ調査は全国3,000社を対象に実施され、2,389社が回答しました。このうち55社が新規立地の可能性があると回答しています。

また、安城市に本社を置く企業102社では19社(約19%)が新規立地の可能性ありと回答しており、全体と比べて移転・増設ニーズが高かったことが分かります。

新規立地するなら「工場・生産施設」が47社

55社の新規立地候補企業に、予定する施設を聞いた結果は次のとおりです。

施設企業数
工場・生産施設47社
業務施設・支店・営業所8社
倉庫・物流施設7社
研究開発施設2社
その他5社

※複数回答

圧倒的に多いのが、

工場・生産施設

です。

安城市の企業立地では、物流倉庫だけではなく、製造業の工場・生産拠点の需要を中心に考える必要があることが分かります。

55社のうち28社が安城市を含むエリアを候補

新規立地の可能性がある55社のうち、候補地として安城市内を挙げた企業は16社、西三河地方・安城市を含むと回答した企業は12社でした。合計28社、約51%が安城市を含むエリアを候補にしています。

ただし、西三河を希望する企業のすべてが安城市を選ぶわけではありません。企業需要があることと、個別の土地が事業用地として選ばれることは分けて考える必要があります。

立地時期は「用地確保次第」を含め30社が5年以内

55社の回答では、1年以内8社、3年以内8社、5年以内7社、用地確保次第7社でした。これらを合わせると30社が、用地条件が整えば比較的早い時期の立地を検討していたことになります。

企業立地では、企業誘致の意向だけでなく、必要な面積・道路・インフラ・法規制を満たす土地を実際に確保できるかが重要です。

企業が希望した場所|国道1号・23号周辺が突出

2022年度調査では、

「安城市内で工場・生産施設、研究開発施設を立地するとしたら、どこが候補になるか」

という調査も行われています。

結果は次のとおりです。

候補エリア回答
伊勢湾岸自動車道・国道1号周辺97社
国道23号周辺86社
JR安城駅・三河安城駅など主要駅周辺42社
その他1社

※複数回答

企業立地では、駅前よりも、

高速道路・国道1号・国道23号へのアクセス

を評価する企業が多かったことが分かります。

この97社・86社は「新規立地予定55社だけ」の数字ではなく、安城市内で立地すると仮定した候補地に関する別設問の回答です。

数字を混同しないことが重要です。

国道沿い土地の売却についてはこちらで詳しく解説しています。

安城市の国道沿い土地を売るには?国道1号・23号・主要県道の査定と事業者向け売却戦略

企業はどのくらい広い土地を求めている?

ここも土地所有者にとって重要です。

安城市企業立地推進計画では、

  • 全国企業調査
  • 東端・和泉地区の企業調査
  • 2020年以降に市が企業訪問等で把握した需要

の3種類をまとめて、実際の工業用地需要を整理しています。

その結果、

1ha以上を希望する企業:25社

でした。

1haは10,000㎡です。

かなり大きな土地です。

さらに内訳を見ると、

希望面積企業数
3,000㎡未満25社
3,000㎡~1ha未満21社
1~2ha未満10社
2~3ha未満5社
3~4ha未満2社
4~5ha未満2社
5ha以上6社

つまり、

1ha以上:25社

そのうち、

4ha以上:8社

5ha以上:6社

です。

大規模区画を求める企業が実際に存在することが分かります。

「5年以内54社」と「55社中30社」は別の数字

ここは特に注意してください。

前述の全国企業調査では、新規立地の可能性がある55社のうち、

30社

が用地確保次第を含め5年以内の立地を予定していました。

一方、企業立地推進計画では、

  • 全国企業調査
  • 市内工業団地調査
  • 市が企業訪問等で把握したニーズ

を合わせると、

5年以内・用地確保次第を含む企業は54社

と整理されています。

つまり、

30社=全国調査55社の回答

54社=複数の需要情報を合算した数字

です。

この2つは意味が違います。

企業需要を見るうえで重要なので、分けて考える必要があります。

東端・和泉では22社が移転・拡張を希望

安城市は東端地区・和泉地区の工業専用地域に拠点を持つ300社についても調査しています。

回答では、

  • 現状維持:222社
  • 現在地で改修:8社
  • 移転・拡張:22社
  • 縮小・撤退:1社

でした。

さらに移転・拡張先としては、

現事業所の近隣:9社

安城市内:5社

などとなっています。

これは企業誘致だけでなく、

既に安城市にいる企業が市外へ流出しないよう、拡張用地を確保する必要がある

ことを示す材料になります。

安城市ではすでに産業ゾーンが設定されている

今回の2026年度調査を、

「ゼロから次の工業団地を探す調査」

と考えるのは正確ではありません。

現在の安城市企業立地推進計画では、すでに複数の産業ゾーンが設定されています。

主な地域には、

  • 高棚北IC周辺
  • 高棚福釜IC周辺
  • 和泉IC周辺
  • 安城西尾IC周辺
  • 藤井IC周辺
  • 名古屋岡崎線・県道56号沿道
  • 北山崎地区

などがあります。

ただし、

産業ゾーンに入っている=すぐ工場を建てられる

わけではありません。

農地・道路・開発許可などを確認する必要があります。

高棚福釜IC周辺は農地約51%

例えば高棚福釜IC周辺について、企業立地推進計画では、

産業ゾーン内に農地が約10ha

あり、

全体の約51%

を占めるとしています。

また、

国道23号・県道47号以外は概ね道路幅員6m未満

という課題も示されています。

企業が国道23号周辺を希望していても、実際には、

道路
農地
水路
出入口
開発許可

などを解決しなければ事業用地として利用できない土地もあります。

高棚・福釜エリアについてはこちらで詳しく解説しています。

安城市福釜町・高棚町の事業用地を売るには?高棚福釜IC周辺の工場・物流需要と査定ポイント

具体的に進んでいるのは安城北山崎地区

企業立地ニーズ調査とは別に、すでに具体的な造成事業まで進んでいるのが、

安城北山崎地区工業用地

です。

愛知県企業庁によると、

  • 所在地:安城市北山崎町・尾崎町
  • 開発面積:約14.5ha
  • 分譲面積:約11.0ha
  • 募集業種:製造業
  • 第1期引渡し:2028年10月予定
  • 第2期引渡し:2030年度予定

です。

第1期の分譲受付は、

2026年5月29日に終了

しています。

つまり北山崎地区は、

企業需要を調べている段階ではなく、造成・分譲が具体的に進んでいる地区

です。

安城北山崎地区工業用地は第1期募集終了|造成工事・第2期・周辺土地への影響

今回の企業立地ニーズ調査とは分けて理解する必要があります。

「北山崎の次の工業団地」が決まったわけではない

2026年度に企業立地ニーズ調査が実施されたからといって、

北山崎の次の工業団地が決定した

とは言えません。

現時点で確認できるのは、

企業需要を調査する予算が計上された

実際に調査業務が発注された

という段階です。

今後、

  1. 2026年度調査結果
  2. 希望エリア
  3. 希望面積
  4. 企業立地推進計画の見直し
  5. 都市計画の変更
  6. 道路・造成計画
  7. 用地取得・民間開発

などが具体化して初めて、土地利用への影響が明確になります。

土地所有者は今回の調査をどう見ればいい?

国道1号・23号や主要県道周辺で広い土地を所有している方にとって、今回の調査は注目材料です。

ただし、

調査があるから土地を売らずに待てば値上がりする

とは判断できません。

事業用地として企業が見るのは、

  • 土地面積
  • 道路幅員
  • 大型車動線
  • 間口
  • 土地形状
  • 市街化区域・調整区域
  • 農地
  • 排水
  • インフラ
  • 周辺住宅

などです。

同じ国道23号から500mでも、企業が使いやすい土地と使いにくい土地があります。

1ha以上の土地なら企業に売れる?

これも一概には言えません。

1ha以上を希望する企業が25社あったことは事実ですが、

1haあるだけで企業用地になるわけではありません。

例えば、

土地A

1ha
幹線道路へ直接アクセス
大型車進入可能
整形地

土地B

1ha
接道4m
農地
複数所有者
排水条件に課題

なら、企業から見た評価は大きく違います。

広い土地はこちらの記事で詳しく解説しています。

安城市で300坪・500坪以上の土地を売る方法|一括・分筆・事業用地を比較

市街化調整区域では開発許可も確認

国道23号IC周辺には市街化調整区域も多くあります。

市街化調整区域では、

「企業が欲しい」

というだけで自由に工場を建てられるわけではありません。

安城市には都市計画法34条12号に基づく制度などがありますが、

  • 対象区域
  • 業種
  • 面積
  • 道路
  • 農地
  • 排水

などを確認する必要があります。

安城市の開発許可が2026年8月19日変更|法人謄本不要・市街化調整区域の確認ポイント

工業地の価格を知りたい場合は「需要」と分けて見る

企業立地ニーズと土地価格は別です。

「企業需要が高い」

からといって、

「どの事業用地も坪単価が上がる」

わけではありません。

安城市の工業地・事業用地価格についてはこちらで比較しています。

安城市の工業地はいくら?2026年の工業地・事業用地価格を比較

企業需要の記事と価格記事を分けて読むことで、

需要がある場所

と、

実際の土地価格

を混同しにくくなります。

2026年度調査で今後確認したい5項目

今後、今回の調査結果が公開されたら特に注目したいのは次の5項目です。

1.新規立地を検討する企業数

2022年度の55社から増えたのか、減ったのか。

2.安城市を候補とする企業数

前回は安城市内16社、西三河・安城市含む12社でした。

3.希望する土地面積

特に、

1ha以上の大型区画需要

が現在も強いかを確認したいところです。

4.希望するエリア

前回強かった、

伊勢湾岸道・国道1号周辺

国道23号周辺

の需要が現在も続いているのかが重要です。

5.結果がどの政策に反映されるか

最も重要なのはここです。

調査だけで終わるのか、

  • 新産業ゾーン
  • 民間開発誘導
  • 道路整備
  • 都市計画変更
  • 新工業用地造成

などへ進むのかを確認する必要があります。

売却するなら調査結果が出るまで待った方がいい?

必ずしも待つ必要はありません。

現在でも、

  • 土地の市場価格
  • 都市計画
  • 事業利用可能性
  • 道路条件
  • 農地規制
  • 想定できる企業

は調査できます。

「新しい工業団地ができるかもしれない」

という期待だけで数年間保有するより、

現在売った場合の価格

と、

事業用地として利用できる可能性

を先に確認しておく方が判断しやすくなります。

安城市で土地を所有している方はこちらもご覧ください。

安城市の不動産売却相談|土地・戸建・空き家・相続不動産

よくある質問

Q.安城市で新しい工業団地が決まったのですか?

2026年10月13日時点では確認できません。

現在確認できるのは、2026年度に企業立地ニーズ調査が実施されていることです。

Q.2026年度の調査予算はいくらですか?

企業立地ニーズ調査業務委託料として1,000万円が計上されています。

Q.企業は安城市のどの場所を希望していますか?

2022年度の調査では、安城市内で立地すると仮定した場合、伊勢湾岸自動車道・国道1号周辺97社、国道23号周辺86社、主要駅周辺42社でした。

Q.1ha以上の土地を探す企業はいますか?

前回調査や企業訪問などをまとめた企業立地推進計画では、1ha以上を希望する企業が25社確認されています。

Q.5ha以上の土地需要もありますか?

あります。企業立地推進計画では5ha以上を希望する企業が6社です。

Q.北山崎地区は今回の調査で決まった工業団地ですか?

違います。

安城北山崎地区はすでに具体的な造成・分譲事業が進んでおり、第1期は2026年5月29日に分譲受付を終了しています。

Q.国道23号沿いなら企業に売れますか?

一概には言えません。

道路幅員、出入口、大型車動線、面積、都市計画、農地、排水などを個別に確認する必要があります。

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