名古屋市瑞穂区須田町にあった日本特殊陶業名古屋工場の跡地を、ニトリホールディングスが取得したことが報じられています。

「ニトリの店舗ができるのでは?」と気になるところですが、2026年10月25日時点で、跡地にニトリ店舗が開業すると確認できる公式発表はありません。

一方、名古屋市は2026年9月25日、この跡地について土壌・地下水汚染の調査結果を公表しました。対象地は10,509.69㎡で、用途地域は商業地域と工業地域にまたがっています。

現在確認できている事実と未確認の情報を区別しながら、日本特殊陶業名古屋工場跡地の取得経緯、土壌・地下水調査、用途地域、今後の土地利用で確認したいポイントを整理します。

この記事で分かること

  • 日本特殊陶業名古屋工場が閉鎖された経緯
  • ニトリホールディングスによる跡地取得について確認できていること
  • 「ニトリ店舗ができる」と現時点では断定できない理由
  • 名古屋市が公表した土壌・地下水汚染の内容
  • 約1.05万㎡の土地と商業地域・工業地域という都市計画上の特徴

結論|ニトリHDによる取得は報じられているが、跡地用途はまだ確認できない

まず結論です。

建通新聞は2026年7月、ニトリホールディングスが瑞穂区須田町の日本特殊陶業名古屋工場跡地を取得し、既存建物の解体を進めていると報じています。

その後、名古屋市が2026年9月25日に公表した土壌・地下水汚染の資料でも、当該工場跡地の「報告者」は株式会社ニトリホールディングスとなっています。

一方、2026年10月25日時点のニトリホールディングス公式IR・ニュース情報では、この場所を何に利用するのか、店舗を建設するのか、物流施設等を整備するのかといった具体的な土地利用計画は確認できません。

したがって現時点では、

「ニトリHDが工場跡地を取得した」

ところまでは確認できますが、

「ニトリ店舗ができる」

とは断定できません。

今後、建築計画、大規模小売店舗立地法に基づく届出、開発関係の手続き、ニトリHDからの発表などが出れば、具体的な用途が見えてくる可能性があります。

日本特殊陶業名古屋工場は2025年2月に生産を終了

日本特殊陶業は2025年2月14日、瑞穂区の名古屋工場について、2025年2月末をもって生産活動を終了すると発表しました。

同社の発表では、

時期公表内容
2025年2月末名古屋工場での生産終了
2025年中工場閉鎖予定
2026年3月末敷地・建物を譲渡先へ引き渡す予定

とされていました。

名古屋工場ではスパークプラグを製造しており、日本特殊陶業は他工場への生産移管と従業員の配置転換を理由として生産終了を決定しています。

日本特殊陶業の公表住所は「名古屋市瑞穂区須田町2-39」です。

一方、2026年9月の名古屋市の土壌・地下水汚染に関する公表資料では、対象地が「瑞穂区須田町208番」と記載されています。公表資料によって住所・地番の表記が異なる点には注意が必要です。

2026年7月、ニトリHDが工場跡地を取得したと報道

建通新聞は2026年7月3日付の記事で、ニトリホールディングスが日本特殊陶業名古屋工場跡地を取得し、既存建物の解体を進めていると報じました。

このため、少なくとも従来の工場建物をそのまま使用するのではなく、土地の再利用に向けた動きが進んでいることはうかがえます。

ただし、

  • 新しい店舗
  • 商業施設
  • 物流施設
  • 事業所
  • 住宅
  • 複合開発

など、次に何を建設するのかについては、現時点では確認できません。

「ニトリが土地を取得した=ニトリ店舗」ではない

不動産の所有者や取得者が誰であるかと、その土地にどのような建物が建つかは別の問題です。

企業が土地を取得する場合でも、自社店舗だけでなく、物流、事業拠点、賃貸、再開発、将来利用などさまざまな可能性があります。

今回については具体的な利用目的を確認できる公式資料がないため、「ニトリ出店予定地」などと表現するのは現段階では適切ではありません。

今後の正式発表を確認する必要があります。

名古屋市公表の対象地は10,509.69㎡|商業地域と工業地域にまたがる

名古屋市が2026年9月25日に公表した土壌・地下水汚染資料では、対象地の概要は次のようになっています。

項目公表内容
対象地日本特殊陶業株式会社 名古屋工場跡地(旧本社工場)
所在地名古屋市瑞穂区須田町208番
面積10,509.69㎡
現況2025年3月から未利用地
過去の利用1936年から2025年2月まで旧工場
用途地域商業地域・工業地域
報告者株式会社ニトリホールディングス

約1.05万㎡というまとまった土地であり、さらに一つの用途地域だけではなく、商業地域と工業地域にまたがっていることがポイントです。

商業地域と工業地域では建てられる建物が同じではない

用途地域は、その土地で認められる建物用途や建ぺい率・容積率などを決める基本的な都市計画制度です。

名古屋市の用途地域指定の考え方では、商業地域は商業・業務機能などの集積を図る地域、工業地域は工場等の立地を誘導・維持する地域として位置付けられています。

また、建築基準法では工業地域について、床面積1万㎡を超える一定の店舗・飲食店・展示場・遊技場などの大規模集客施設には用途制限があります。

ただし、今回の土地は商業地域と工業地域の双方を含んでいるため、これだけで「何㎡の店舗なら建てられる」「この用途になる」と判断することはできません。

実際の建築計画では、

  • 建築敷地をどの範囲に設定するか
  • 用途地域の境界がどこを通るか
  • 建ぺい率・容積率
  • 防火・準防火地域
  • 道路条件
  • 建物用途
  • 建物規模
  • その他の都市計画・条例

などを個別に確認する必要があります。

したがって、「商業地域が含まれているから大型ニトリができる」といった判断も現時点ではできません。

2026年9月25日、土壌・地下水汚染を名古屋市が公表

跡地利用を考えるうえでもう一つ重要なのが、2026年9月25日に名古屋市が公表した土壌・地下水汚染です。

報告日は2026年9月18日で、報告者はニトリホールディングスです。

調査では、土壌溶出量、土壌含有量、地下水のそれぞれで基準超過が確認されています。

公表された主な調査結果

土壌溶出量調査では、

  • クロロエチレン
  • 1,2-ジクロロエチレン
  • テトラクロロエチレン
  • トリクロロエチレン
  • 六価クロム化合物
  • シアン化合物
  • 鉛及びその化合物
  • ほう素及びその化合物

について基準超過が確認されています。

土壌含有量調査では、鉛及びその化合物が最大3,800mg/kgで、基準の最大25倍となる区画が確認されています。

地下水調査ではクロロエチレンと1,2-ジクロロエチレンが基準を超えており、クロロエチレンは最大で基準の80倍とされています。

ただし、これらは調査対象となった当該敷地で確認された結果です。

「須田町全体が汚染されている」「周辺の土地も同じ状態である」と判断することはできません。

この点は明確に区別する必要があります。

名古屋市は区域指定を予定|「汚染=土地を使えない」ではない

名古屋市は対象地について飛散防止措置等がとられているとしています。

今後は報告者に適切な土壌・地下水汚染対策を実施するよう指導するとともに、土壌汚染対策法に基づく区域指定を行い、公示する予定です。必要に応じて周辺井戸水の水質調査も実施するとしています。

ここで注意したいのは、

「土壌汚染が確認された=今後建物を建てられない」

とは限らないことです。

土壌汚染対策法では、基準を超えた土地について、健康被害のおそれなどに応じて「要措置区域」と「形質変更時要届出区域」に分けて扱います。

要措置区域は、汚染の摂取経路があり健康被害が生じるおそれがあるため、汚染除去等の措置が必要になる区域です。

一方、形質変更時要届出区域は、汚染の摂取経路がなく健康被害が生じるおそれがないため、原則として汚染除去等の措置は不要ですが、土地の形質を変更するときに届出が必要になります。

2026年10月25日時点の公表資料では、この跡地が最終的にどの区域区分として指定されるのかまでは確認できません。

今後の名古屋市の公示・対策内容を確認する必要があります。

今後の跡地利用で確認したいこと

跡地の次用途はまだ公表されていません。今後、具体的な計画を判断する材料になるのは、次のような公表情報です。

  • 既存工場建物の解体状況
  • 土壌汚染対策法に基づく区域指定と対策内容
  • 建築計画・開発許可などの手続き
  • 大規模小売店舗立地法の届出の有無
  • ニトリホールディングスからの公式発表
  • 道路・出入口・敷地利用計画

対象地は商業地域と工業地域にまたがっていますが、用途地域だけで次に建つ施設を特定することはできません。建築敷地をどの範囲に設定するのか、建物をどこへ配置するのかなど、具体的な計画が示されて初めて土地利用の全体像が見えてきます。

また、土壌・地下水汚染については名古屋市が今後の区域指定と対策を予定しています。開発計画を見る際は、建築計画だけでなく、土壌対策の進捗もあわせて確認する必要があります。

須田町は瑞穂区北部の工業系土地利用が残る地域

須田町は瑞穂区北部に位置し、東側には新堀川があります。

名古屋市瑞穂区の町名解説によると、新堀川の改良工事を契機にこの周辺では工場誘致が進み、現在も工場が残る地域とされています。

そのため、瑞穂区というと東部の住宅地をイメージする方も多いですが、区内の土地利用は一様ではありません。

須田町や高辻、堀田方面では、住宅だけでなく工場、事業所、幹線道路沿いの商業・事業系土地利用も見られます。

まとめ|ニトリHD取得後も次用途は未公表、土壌対策と開発手続きが次の焦点

日本特殊陶業は2025年2月に瑞穂区須田町の名古屋工場で生産を終了しました。その後、2026年7月にニトリホールディングスが跡地を取得し、既存建物の解体を進めていることが報じられています。

さらに名古屋市は2026年9月25日、須田町208番・10,509.69㎡の対象地で土壌・地下水汚染が確認されたことを公表しました。今後は土壌汚染対策法に基づく区域指定や対策が予定されています。

一方、跡地にニトリ店舗を建設するという公式発表は確認できません。次用途を判断するには、ニトリHDの発表、建築・開発関係の手続き、大規模小売店舗立地法の届出、土壌対策の進捗を確認する必要があります。

よくある質問

Q. 日本特殊陶業名古屋工場跡地にニトリ店舗ができますか?

2026年10月時点では確認できません。ニトリホールディングスによる跡地取得は確認されていますが、店舗建設・開業を示す公式発表は確認できていません。

Q. 跡地の広さはどのくらいですか?

名古屋市が土壌・地下水汚染の対象地として公表している面積は10,509.69㎡です。これは汚染調査の対象地面積であり、売買面積として公表された数値とは限りません。

Q. 土壌汚染が確認されると建物は建てられませんか?

一律に建築できなくなるわけではありません。区域指定の内容、土壌・地下水対策、土地の形質変更方法などに応じて必要な手続きが変わります。今回の跡地では、名古屋市が今後の区域指定を予定しています。

Q. 須田町周辺も同じように汚染されているのですか?

そのようには判断できません。今回公表された結果は、日本特殊陶業名古屋工場跡地として調査された特定の敷地についてのものです。

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参考情報

日本特殊陶業|名古屋工場の生産終了および工場閉鎖のお知らせ

2025年2月末の生産終了、2025年中の工場閉鎖、2026年3月末までの敷地・建物引き渡し予定について確認できます。
日本特殊陶業「名古屋工場の生産終了および工場閉鎖のお知らせ」

名古屋市|土壌・地下水汚染の報告について(名古屋市瑞穂区須田町)

日本特殊陶業名古屋工場跡地について、所在地、対象面積10,509.69㎡、用途地域、報告者、土壌・地下水の調査結果などを確認できます。
名古屋市「土壌・地下水汚染の報告について(名古屋市瑞穂区須田町)」

建通新聞|ニトリHDが瑞穂区須田町の工場跡地を取得

ニトリホールディングスによる日本特殊陶業名古屋工場跡地の取得と、既存建物の解体について報じています。
建通新聞「ニトリHD 瑞穂区須田町の工場跡地を取得」

名古屋市|用途地域の指定の基本的な考え方

名古屋市における商業地域・工業地域など、用途地域ごとの土地利用の考え方を確認できます。
名古屋市「用途地域の指定の基本的な考え方」

名古屋市|土壌汚染対策法に基づく区域の指定

「要措置区域」と「形質変更時要届出区域」の違いや、区域指定後の取り扱いを確認できます。
名古屋市「土壌汚染対策法に基づく区域の指定」