名古屋市港区の東茶屋四丁目周辺で、大型物流施設の整備に向けた「東茶屋四丁目物流拠点地区計画」が進んでいます。
2026年2月27日に都市計画提案が行われ、その後、名古屋市による手続きが進み、2026年8月26日から9月9日まで都市計画案の縦覧が実施されました。
つまり、単なる「物流施設の構想」ではなく、都市計画案として公表される段階まで進んでいます。
ただし、2026年10月25日時点では、都市計画案の縦覧を終え、2026年11月4日に開催される名古屋市都市計画審議会で「地区計画の決定」が第3号議案として審議される予定です。まだ都市計画決定・告示が完了した段階ではありません。
この記事では、計画されている物流施設の規模、地区計画の内容、なぜ東茶屋周辺で物流施設が計画されているのか、11月4日の都市計画審議会以降に確認したい手続きを整理します。
この記事で分かること
- 東茶屋四丁目物流拠点地区計画が現在どこまで進んでいるのか
- 名鉄都市開発が想定している物流施設の規模
- 約3.3haの地区計画で予定されている建築・緑化等のルール
- なぜ市街化調整区域で物流施設の計画が進められるのか
- 11月4日の都市計画審議会で何が審議されるのか
- 都市計画決定・告示後の農地転用・開発許可・工事着手までの流れ
先に結論|11月4日の都市計画審議会で「地区計画の決定」を審議予定
2026年10月25日時点で確認できる手続きは、次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年2月27日 | 都市計画法第21条の2に基づく都市計画提案 |
| 2026年3月16日~ | 都市計画提案に係る素案を名古屋市が公開 |
| 2026年8月26日~9月9日 | 「東茶屋四丁目物流拠点地区」の都市計画案を縦覧 |
| 2026年11月4日予定 | 名古屋市都市計画審議会で「地区計画の決定」を第3号議案として審議予定 |
名古屋市の都市計画提案制度では、都市計画案の縦覧・意見書受付の後、都市計画審議会による審議を経て、都市計画決定・変更の告示へ進む流れとなっています。
したがって、この計画を見るときは、
「大型物流施設の建設が正式決定した」
と捉えるのではなく、
「都市計画決定に向けた法定手続きが具体的に進んでいる」
と考えるのが適切です。
東茶屋四丁目物流拠点はどのような計画?
名古屋市が公表した資料によると、事業者は名鉄都市開発株式会社です。
2026年5月時点の想定では、次のような物流施設が計画されています。
| 項目 | 公表されている計画 |
|---|---|
| 事業者 | 名鉄都市開発株式会社 |
| 敷地面積 | 約31,330㎡ |
| 延床面積 | 約67,670㎡ |
| 階数 | 4階 |
| 構造 | S造・耐震 |
| 建物高さ | 約30m |
| 建蔽率 | 約59% |
| 容積率 | 約199% |
敷地だけで約3.1ha、延床面積は約6.8万㎡となるため、実現すれば港区西部でも相応の規模を持つ物流施設になります。
ただし、これらは2026年5月時点の想定に基づく数値です。
都市計画手続きや開発許可、設計変更などによって内容が変わる可能性があるため、最終的な建物規模については今後の正式な公表資料を確認する必要があります。
地区計画の区域は約3.3ha|東茶屋四丁目だけではない
地区計画の名称は「東茶屋四丁目物流拠点地区計画」ですが、計画書上の位置は、
名古屋市港区東茶屋四丁目及び西茶屋三丁目の各一部
とされています。
地区計画区域は約3.3haです。
名称だけを見ると東茶屋四丁目だけの事業に見えますが、都市計画上の区域を確認すると、西茶屋三丁目の一部も含まれている点には注意が必要です。
この場所が物流拠点として計画される理由
計画地は名古屋市南西部の市街化調整区域にあり、周辺には農地が広がっています。
一方で、名古屋第二環状自動車道の南陽インターチェンジから東へ約1kmという位置にあります。
名古屋市は、この立地について、中部圏の製造業集積地域と全国各地をつなぐ広域交通ネットワークを活用できる場所と位置付けています。
ここが今回の計画を見るうえで重要なポイントです。
通常、
「市街化調整区域=開発できない」
と考えられることがありますが、実際には市街化調整区域でも、都市計画法や地区計画、開発許可などの条件を満たすことで一定の開発が成立する場合があります。
名古屋市では、港区・中川区の「富田・南陽地区」を対象に、物流施設の立地を目的とした市街化調整区域内の地区計画について運用指針を設けています。
2021年5月の名古屋第二環状自動車道全線開通と南陽インターチェンジ等の整備を背景に、周辺環境との調和を前提として広域交通ネットワークを活かした物流施設等の土地利用を図る方針です。
地区計画では物流施設以外を自由に建てられるわけではない
今回の地区計画で特に確認したいのが、建築物の用途です。
計画書では、原則として建築できるものを、
- 流通業務を営む倉庫
- その倉庫に附属する建築物
に限定しています。
さらに、建築物の敷地面積の最低限度を30,000㎡とする内容も示されています。
これは、単純に市街化調整区域を市街化区域へ変更し、住宅・店舗・事務所などを自由に建てられるようにする計画ではありません。
あくまで、この場所で物流拠点を形成するための土地利用ルールを地区計画として設定しようとしているものです。
高さ31m・緑化率25%以上などの制限も計画
大規模物流施設が農地の広がる地域に立地するため、地区計画には周辺環境への配慮も盛り込まれています。
主な内容は次のとおりです。
| 項目 | 地区計画の内容 |
|---|---|
| 区域面積 | 約3.3ha |
| 建築用途 | 流通業務を営む倉庫・附属建築物 |
| 敷地面積最低限度 | 30,000㎡ |
| 建築物高さ | 原則15m以下、一定条件を満たす場合31m以下 |
| 万場藤前線側の壁面後退 | 10m以上 |
| その他道路・隣地境界側 | 原則5m以上 |
| 緑化率 | 25%以上 |
| 地区施設としての緑地 | 約1,500㎡ |
| 調整池 | 約1,900㎥ |
| 避難施設 | 約2,000㎡ |
敷地周囲には幅2m以上の緩衝緑地帯を設ける計画で、2026年5月時点の想定では緑化面積約7,870㎡、緑化率約25%とされています。
単に倉庫を建てるだけではなく、周辺農地や景観、雨水、防災への対応を地区計画の中に組み込んでいる点が特徴です。
大規模災害時には約2,000㎡の避難施設も計画
今回の地区計画では「物流効率」だけでなく、防災性も一つのテーマになっています。
地区施設として、約2,000㎡の避難施設を設け、大規模災害時に周辺住民等が避難できる施設の整備を図る方針が示されています。
物流施設は建物規模が大きく、周辺地域への交通・騒音・景観などの影響が注目されやすい施設です。
その一方で、今回の計画では地域防災への機能を持たせることで、物流機能だけではない地域貢献も計画されています。
地区計画の区域外まで自動的に物流用地になるわけではない
今回の地区計画区域は、東茶屋四丁目と西茶屋三丁目の各一部、約3.3haです。周辺一帯を一括して物流用途へ変更する計画ではありません。
名古屋市の運用指針では、市街化調整区域で物流施設向けの地区計画を検討する場合、対象道路への接道、原則1ha以上の敷地、おおむね整形な土地、農用地区域等を含まないことなど複数の要件があります。近接する農地だから同じ用途で開発できる、という意味ではありません。
次は11月4日の都市計画審議会|その後に決定・告示、農地転用、開発許可
都市計画案の縦覧は2026年9月9日に終了し、次の大きな手続きは11月4日の名古屋市都市計画審議会です。今回の地区計画は「地区計画の決定」として第3号議案に掲載されています。
ただし、審議会に付議された時点では都市計画決定・告示が完了したわけではありません。審議結果を経て決定・告示へ進み、その後に農地法第5条の農地転用許可、都市計画法第29条の開発許可、工事着手といった手続きが想定されます。
- 2026年11月4日:名古屋市都市計画審議会で審議予定
- 審議後:都市計画決定・告示を確認
- その後:農地転用・開発許可などを確認
- 許認可後:工事着手時期を確認
事業者が2026年5月に示した想定では、2027年に都市計画決定・許認可・工事着手、2029年に工事完了とされていますが、これは現時点の確定工程ではありません。
まとめ|11月4日の都市計画審議会が次の節目
東茶屋四丁目物流拠点地区計画は、2026年2月の都市計画提案、8〜9月の都市計画案縦覧を経て、11月4日の名古屋市都市計画審議会で「地区計画の決定」が審議される予定です。
計画区域は東茶屋四丁目・西茶屋三丁目の各一部、約3.3ha。名鉄都市開発が想定する施設は、敷地約31,330㎡、延床約67,670㎡、4階建ての大型物流拠点です。
地区計画案では、物流倉庫用途、敷地面積30,000㎡以上、緑化率25%以上、条件付きで高さ31m以下、約1,500㎡の緑地、約1,900㎥の調整池、約2,000㎡の避難施設などが示されています。
11月4日の審議会後も、都市計画決定・告示、農地転用、開発許可、工事着手という段階が残ります。2029年工事完了は事業者が示した想定であり、正式な完成日は今後の手続きにより変わる可能性があります。
よくある質問
Q. 東茶屋四丁目の物流施設は建設決定したのですか?
2026年10月25日時点では、都市計画案の縦覧を終え、11月4日の名古屋市都市計画審議会で地区計画の決定が審議される予定です。まだ都市計画決定・告示、開発許可、工事着手まで完了した段階ではありません。
Q. 事業者はどこですか?
名古屋市の公表資料では名鉄都市開発株式会社です。2026年5月時点では、敷地約31,330㎡、延床約67,670㎡、4階建ての物流施設が想定されています。
Q. 地区計画ではどのような建物が認められる予定ですか?
原則として流通業務を営む倉庫とその附属建築物です。敷地面積の最低限度30,000㎡、緑化率25%以上などの条件も示されています。
Q. いつ完成する予定ですか?
事業者が2026年5月に示した想定では2029年工事完了です。ただし正式な完成時期ではなく、都市計画・農地転用・開発許可・工事の進捗によって変わる可能性があります。
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参考情報
名古屋市「都市計画提案にかかる都市計画の素案の閲覧(東茶屋四丁目物流拠点地区)」
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名古屋市「都市計画関係 縦覧等のお知らせ」
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名古屋市「物流施設の立地を目的とした南西部市街化調整区域内における地区計画の運用指針」
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※本記事は2026年9月27日時点で公表されている名古屋市資料を基に作成しています。都市計画、施設規模、許認可、工事時期などは今後変更される可能性があります。最新情報は名古屋市および事業者の公表資料をご確認ください。



