安城市里町に、カリツー株式会社の新拠点「安城里町物流センター」が開設されました。カリツーは2026年7月9日に竣工式を実施し、国内35拠点目の物流拠点として公表しています。所在地は安城市里町日吉9-1、同社が公表する倉庫面積は19,405㎡です。

一方、土地所有者の方が注意したいのは、「大きな物流施設ができた=周辺の土地も物流用地として使える」「周辺の土地価格が上がる」と単純には判断できないことです。

愛知県へ提出されたCASBEEあいちの資料では、計画地は市街化調整区域と記載されています。周辺の土地についても、都市計画、道路、農地、開発許可、土地形状などを一筆ごとに確認する必要があります。

この記事では、安城里町物流センターの公表情報を整理するとともに、里町周辺で土地を所有している方が今回の企業立地をどう見ればよいのか、不動産の視点から解説します。

この記事で分かること

・安城里町物流センターの所在地・開設時期・規模
・倉庫面積19,405㎡と延べ面積約26,180㎡の違い
・計画地について確認できる都市計画上の情報
・物流施設ができても周辺土地を同じように利用できるとは限らない理由
・里町周辺で土地を所有している場合に確認したいポイント

先に結論|安城市里町で大規模な物流拠点が実際に開設された

カリツーの公式発表により、安城市里町で新たな物流拠点が開設されたことは確認できます。

注目したいのは、単なる計画段階ではなく、2026年7月9日に竣工式まで行われていることです。また、同社公式資料では倉庫面積19,405㎡とされており、一定規模の物流拠点であることが分かります。

ただし、不動産所有者にとって重要なのは「近くに物流センターができた」という情報だけではありません。

自分の土地については、

・市街化区域か市街化調整区域か
・前面道路は大型車の利用に適しているか
・農地に該当するか
・どのような建物を建てられるか
・事業用地として買主が検討できる規模・形状か

まで確認して初めて、売却や土地活用の可能性を判断できます。

カリツー「安城里町物流センター」の概要

公表資料を整理すると、次のようになります。

項目公表内容
名称安城里町物流センター
所在地愛知県安城市里町日吉9-1
開設・竣工式2026年7月9日
位置付けカリツー国内35拠点目
倉庫面積19,405㎡
建物鉄骨造・地上2階
CASBEE上の延べ面積26,180.08㎡
CASBEE上の敷地面積23,296㎡
CASBEE資料上の区域市街化調整区域
主な設備2階作業エリアに冷暖房設備

カリツーは、2階の作業エリアに冷暖房設備を導入し、働きやすさと安全性の向上を図る物流拠点と説明しています。

愛知県のCASBEEあいち資料では、建設段階の名称は「(仮称)カリツー安城里町物流センター」、建設地は「安城市里町日吉8番1ほか20筆」、鉄骨造2階建て、敷地面積23,296㎡、延べ面積26,180.08㎡、市街化調整区域とされています。

現在のカリツー公式所在地は「里町日吉9-1」です。計画時資料と現在の住所表記が異なる理由については、公表資料からは確認できません。

「倉庫面積19,405㎡」と「延べ面積26,180㎡」は何が違う?

今回の情報を見ると、

「倉庫面積19,405㎡」
「延べ面積26,180.08㎡」

という2つの数字が出てきます。

これは同じ面積を示しているわけではありません。

カリツーが公開している19,405㎡は「倉庫面積」です。一方、CASBEEあいちに記載されている26,180.08㎡は建築物全体の「延べ面積」です。

そのため、「どちらかが間違っている」と判断するのではなく、面積の定義が違うと考える必要があります。

開発情報を見る際には、

・敷地面積
・建築面積
・延べ面積
・倉庫として利用する面積

を区別すると、施設の規模を理解しやすくなります。

なぜ土地所有者にとって「市街化調整区域」という情報が重要なのか

今回、特に確認しておきたいのが、CASBEE資料で建設地が「市街化調整区域」とされている点です。

市街化調整区域は、市街化を抑制することを基本とする区域です。

国土交通省によると、市街化調整区域では都市計画法第34条の立地基準などにより、許可できる開発行為の類型が限定されています。つまり、市街化調整区域内に物流センターが実際に建っているからといって、近隣の土地でも同じ用途の建物を自由に建てられるわけではありません。

土地ごとに、

・開発許可を受けられる根拠があるか
・地区計画等があるか
・既存の土地利用は何か
・農地法上の確認が必要か
・道路や排水などの技術基準を満たせるか

などを確認する必要があります。

「隣に倉庫があるから、自分の土地も倉庫用地になる」と判断しないことが大切です。

安城市は北部でも企業立地を進めている

安城市では、市全体として企業立地を進める方針を示しています。

安城市企業立地推進計画では、国道1号、国道23号、伊勢湾岸自動車道豊田南インターチェンジなどの交通ネットワークを生かし、工業用地確保を進める方針が示されています。

さらに「北部地区」については、新産業ゾーンとして、豊田南インターチェンジへの近さや既存工業地域との近接性を背景に、民間事業者による開発を誘導する方針が示されています。

ただし、ここで注意したい点があります。

今回の安城里町物流センターの敷地が、その「北部地区」の新産業ゾーンに含まれるかどうかは、今回確認した資料だけでは断定できません。

個別の土地については、安城市の「あんじょうマップ」などで地番単位の都市計画情報を確認する必要があります。安城市は2026年4月以降、都市計画情報の確認に「あんじょうマップ」を案内しています。

物流施設の周辺で土地を持っている人が確認したい5つのこと

1.まず都市計画上の位置付けを確認する

最初に確認したいのは土地の区域です。

市街化区域なのか、市街化調整区域なのか。用途地域や地区計画はどうなっているのか。

事業用地として使える可能性を考える場合でも、道路条件より先に都市計画上の利用制限を確認しておくと、検討できない用途を早い段階で除外できます。

2.大型車が使える道路かを見る

物流用地では、単純に「道路に接している」だけでは不十分です。

買主側は、

・前面道路の幅員
・大型車が進入できるか
・敷地内で車両が転回できるか
・交差点や幹線道路までの動線
・搬入口を確保できるか

などを確認します。

住宅用地では評価しにくい広い土地でも、道路と土地形状が事業用途に合えば、別の買主層が検討する可能性があります。

反対に、面積が広くても道路が狭い土地や間口が小さい土地では、物流用途が難しいことがあります。

3.土地の面積より「形」と「間口」を見る

倉庫や工場では、建物部分だけでなく、

・荷さばきスペース
・トラックの待機場所
・従業員駐車場
・車両の旋回スペース
・緑地や排水設備

などのスペースが必要になる場合があります。

そのため、「何坪あるか」だけでは判断できません。

間口、奥行き、土地形状、高低差などを含め、実際に建物配置ができるかを見る必要があります。

4.農地なら農地法の確認も必要になる

里町を含む安城市内には農地もあります。

安城市では「里町農用地利用改善組合」を対象とした地域計画も公表されています。

ただし、「里町に農地がある」ということと「特定の土地が農地転用できる」ということは別です。

所有している土地が農地の場合は、

・農地の区分
・農業振興地域との関係
・農地転用の可否
・都市計画上の利用条件

などを個別に確認する必要があります。

5.想定する買主を先に整理する

土地の価値は、住宅用地だけで考える必要はありません。

土地条件によっては、

・戸建住宅を建てたい個人
・建売事業者
・地元企業
・倉庫や工場を探している事業者
・駐車場や資材置場を必要とする事業者

など、異なる買主が考えられます。

ただし、法令上利用できない用途を想定して査定することはできません。

「誰が使える土地なのか」を確認してから価格を考えることが、事業用地では特に重要です。

物流センターができると周辺の土地価格は上がる?

今回の物流センター開設だけを根拠に、周辺の土地価格が上がるとは判断できません。

企業立地は地域の土地利用を見るうえで参考になる情報ですが、不動産価格はそれだけで決まりません。

実際には、

・都市計画
・道路条件
・土地面積
・土地形状
・利用可能な用途
・周辺の取引事例
・事業者からの需要
・インフラ整備状況

などを総合して考える必要があります。

特に市街化調整区域では、数十メートル、数百メートル離れただけでも、開発の条件が異なる可能性があります。

開発ニュースを見てすぐ売却価格を予測するよりも、「自分の土地は何に利用できる土地なのか」を確認する方が実務上は重要です。

売る・貸す・保有する|周辺土地はどう考える?

物流施設の新設をきっかけに、土地をどうするか考え始める所有者もいるでしょう。

ただし、最初から売却と決める必要はありません。

選択肢検討しやすい状況確認したいこと
売却今後利用予定がなく、事業用地等として需要を確認したい想定買主、売却価格、都市計画、道路
貸地長期保有したいが、自分で建物投資はしたくない借主需要、契約期間、用途、原状回復
土地活用建物投資を含めて長期間利用したい建築可能用途、投資額、収益性、管理
保有将来利用する可能性がある固定資産税、草刈り、管理、将来の利用予定

どれが適しているかは土地条件と所有者の事情によって変わります。

企業立地の情報は、「今すぐ売る理由」ではなく、土地の現状を確認するきっかけとして使う方がよいでしょう。

土地について相談する前に確認できる資料

里町周辺などで土地の利用・売却を検討する場合、次の資料があると状況を整理しやすくなります。

・固定資産税納税通知書・課税明細書
・登記事項証明書
・公図
・地積測量図、確定測量図
・境界確認書
・現在の土地利用が分かる写真
・農地の場合は農地に関する資料
・賃貸している場合は賃貸借契約書

すべて揃っていなくても相談は可能です。

まず所在地や地番が分かれば、都市計画、道路、土地形状など「次に何を確認すればよいか」を整理できます。

ヒロセット不動産への相談について

企業の新工場や物流センターが近くにできると、

「自分の土地にも需要があるのだろうか」
「事業用地として使える土地なのだろうか」
「売る予定はないが、現在の価値を確認しておきたい」

と気になることがあります。

その段階で売却を決める必要はありません。

ヒロセット不動産では、安城市の土地について、まず都市計画、道路、土地形状、現在の利用状況などを確認し、売却・保有・貸地・土地活用などの選択肢を整理するところからご相談いただけます。

特に市街化調整区域や農地が関係する土地は、「近くに何が建っているか」だけでは判断できません。

自分の土地で実際に何が可能なのかを確認してから、その後の方向性を考えることが大切です。

まとめ|物流施設の開設と、自分の土地の利用可能性は分けて考える

カリツー「安城里町物流センター」は2026年7月9日に開設され、国内35拠点目、倉庫面積19,405㎡の物流拠点として公表されています。

また、愛知県のCASBEE資料からは、計画地が市街化調整区域で、敷地面積23,296㎡、延べ面積26,180.08㎡の鉄骨造2階建てとして計画されていたことも確認できます。

一方、近くに大規模物流施設ができたからといって、周辺土地も同じ用途に利用できるとは限りません。

土地を所有している方は、

都市計画 → 開発条件 → 道路 → 土地形状 → 想定用途・買主

の順に整理すると、自分の土地について判断しやすくなります。

売却するかどうかを決める前に、「この土地にはどのような選択肢があるのか」を確認しておくことが、今後の土地利用を考える第一歩です。

よくある質問

Q.安城里町物流センターはいつ開設されましたか?

2026年7月9日にカリツーが開設を公表し、同日に竣工式が行われています。愛知県のCASBEE資料では2026年6月が竣工予定とされていましたが、企業公式発表では7月9日に竣工式実施とされています。

Q.安城里町物流センターの倉庫面積はどのくらいですか?

カリツー公式の倉庫面積一覧では19,405㎡です。一方、CASBEEあいちに掲載されている建物全体の延べ面積は26,180.08㎡です。両者は面積の定義が異なるため、分けて確認する必要があります。

Q.安城里町物流センターは市街化調整区域にあるのですか?

愛知県のCASBEEあいち資料では、計画地は「市街化調整区域」と記載されています。個別の土地について現在の区域区分を確認する場合は、安城市の都市計画情報や「あんじょうマップ」で地番ごとに確認してください。

Q.物流センターの近くなら、自分の土地も倉庫用地として売れますか?

必ずしもそうとは限りません。市街化調整区域では開発できる用途や条件が限定される場合があり、道路、農地、土地形状、排水などの確認も必要です。近隣施設ではなく、自分の土地自体の条件を調べる必要があります。

Q.まだ土地を売る予定がなくても相談できますか?

可能です。売却を決める前に、都市計画、道路、土地形状、利用可能性、想定される買主などを整理しておくと、売る・貸す・活用する・保有するという選択肢を比較しやすくなります。

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参考情報

・カリツー株式会社「国内35拠点目となる安城里町物流センターを開設」
・カリツー株式会社「倉庫面積」
・愛知県「CASBEEあいち2025年度届出一覧」
・安城市「企業立地推進」
・国土交通省「開発許可制度の概要」